翻刻
【右丁】
絹をかけ裾には袴のやうなる物を着て髪は
つくねて頭の形に似たる櫛をさして生花
の色々なるを長く切て指かざし両の肩(カタ)のあたり
迄たれり是は沓をはきて暮六ツ時より出行
男も有ゆ へ(エ)箱ものなど持はこぶ■灯持三四人
は魚の形ちを作りて張たるもの也此所は南天
竺之南の隅(スミ)とぞ聞えける斯する内六月の
初頃に大舟来りけるに宿の主の案内にて此舟え
【左丁】
連行て是に乗ると言また何かなる遠国に連
行れうきめを見る事ぞと覚束なくも只
弐人ともに打乗りしに此舟には老若の女八人
男弐人梶取水夫廿人都て五十人程乗組て
そらろくの湊を乗出し女はなみだめとか■躰也
其 子細(シサイ)をしらす後に老れは人商人に買れたる
か盗れたる者か黒ごまの類をおひたゝしく
積たり船路廿日程行ける時 船(フネ)中にて幸五郎