翻刻
【右丁】
り亭主と思ひし人は居間の上座に居る後に其名
を聞はたいこん官と言《割書:三十計|り也》妻女の名ははきんとんと言
よし《割書:十八才ト|》聞常に居る所奥とふくして家内の下々
見る事あたわず当春此家に嫁入して来りしと
聞へる亭主の弟にかんぺんと言又壱人の名をひやう
こうと言也此弐人家内万事を司どり諸事才
判して呉服諸品を商ふ大居なり下人十三人
有其中に三人は黒坊其名をあれん。もふせり。
【右丁】
かうせん。と言て是■(トヲ)は朝夕の食子を炊く
役なり下女三人有り其名をひゆん。うきん。ほ
きんと言也是も黒坊の女なり孫七が名を常に
日本(ジツポン)に(ジ)つほんとよひけり此家に養れて年月
をそ送りける初めの程は言語互に通せされ共
物事仕形にて手伝しけるか年月次第に重る
に付て追々言葉も聞ならひける別して■
前とて家内いそかはしく有ければ家内の