翻刻
【右丁】
なとの肉料理して祭る十五日の夜は寺の内
に大きなる施餓鬼棚(セカキタナ)をしつらい町家より
は思ひ〳〵に飯をたき大鉢に盛上ていろよき
紙に銘々の名を書付竹の串にはさみ鉢
の飯(メシ)に何程となく突たて是を送る或
は肉物るい或は種々の菓子るいせうちうなど
どりそへて施餓鬼棚へと持行なり夫より
大勢の僧出て経をよみ終て後へ備へし霊
【左丁】
物を所々 若(ワカ)者子供なんど大勢か参りて
めい〳〵あらそいて取て帰し家猪(ブタ)や犬猫(イスネコ)
に是を喰する事也十五日の夜は近所組合の
者銘々に出て大筏(ヲヽイカタ)を拵へ前の大川に浮め
右の霊物(リヤウモツ)を持出して積重ねの一二斤掛の大蝋
燭を燈し川に流す斯のことくにして川上より
流れ通る事おひたゝ敷也其火何程風に当り
てもきへず川水にろつう流れ行ざま其ぎやう