翻刻
【右丁】
火は。ほい。酒ハ。ちう。醬油は。とうちう。塩はやむ。
油は。たはこは。ぽんきせるは。ぼんちゆい。茶(チヤ)碗
は。わあ。鉢は。ぽんわんと言此外数多く有けれ共
書いとまなし扨秋の末に至りても季候(キコウ)さし
て替ることなし春になれは高き山に登り酒宴をなし
て楽(タノ)しむ此所にか■やと言鳥の巣 有(アリ)山河の
岸か但し岩窟の内に巣を組也其色白く猿の
腰かけに似たり此巣何りなる薬にや成らん阿蘭陀
【左丁】
より先金入て求め帰る懸目一斤を銀
八拾目に買取なり是に依て国主よりきひしき
制してみだりに取事を停止給ふ或時一人
此の巣を盗とりて孫七が主人の近所商人見世え
売に来る躰に打節役人二人通り是を見て
其家に立寄二人にて詮儀をつよくしけるに
のかれ難しや思ひけん役人の帯(タイ)せし釼を抜
取二人の者腹を指通し其侭小釼を捨てにけうせに