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コレクション: 蔦唐丸(蔦重)

塩売文太物語 2巻 - 翻刻

塩売文太物語 2巻 - ページ 6

ページ: 6

翻刻

【文太の妻】 おあきんどいつも よりこんどは はやくくだら しやつた せんそく つかふて やすましやませ 心のよいお人じや 【小しほ】 を も し ろい はな しの 【文太】 はての すけ八どの をし鳥の いわれを はなして きか さつし や れ をららは しりませぬ 【すけ八】 をし鳥はもろ こしにかんはくといふものあつて そのふうふ みかとにころされ そのれい こん 二羽 の鳥と なりて をし鳥と 申いかうつまを したう鳥で ござります 大くうし鳥をすきてかへり中にもおし鳥をひそう して文太にあつけをく又そのころみやこより来る 助八といふあきんどいつも文太がもとをやどゝせり 小しほ哥道をこのめば助八になづみいつしか 父母もむすめがていけとりしるとはいへども すけ八が人がらいやしからねはみぬふりにていたる

現代語訳

【文太の妻】 お商人さん、いつもよりも今度は早くいらっしゃいました。先刻使って休ませましょう。心のよいお人ですね。 【小しほ】 面白い話ですね。 【文太】 はてさて、助八殿、鴛鴦の鳥の由来を話して聞かせてやってください。我らは知りません。 【助八】 鴛鴦の鳥は、唐土に韓白という者がいて、その夫婦が帝に殺され、その霊魂が二羽の鳥となって鴛鴦と申します。たいそう妻を慕う鳥でございます。 大宮司は鳥を好んで飼っており、中でも鴛鴦を秘蔵して文太に預けておいた。またその頃、都から来る助八という商人がいつも文太のもとを宿としていた。小しほは歌道を好むので助八になついて、いつしか父母も娘の様子を察知するとはいえども、助八の人柄が卑しくないので見ぬふりをしていた。

英語訳

【Bunta's wife】 Merchant, you've arrived earlier than usual this time. Please rest after your journey. What a kind-hearted person you are. 【Oshio】 What an interesting story. 【Bunta】 Well then, Sukehachi-san, please tell us the story behind the mandarin ducks. We don't know about it. 【Sukehachi】 The mandarin ducks - in China there was a man named Kanpaku, and when he and his wife were killed by the emperor, their souls became two birds called mandarin ducks. They are birds that deeply long for their mates. The head priest loved keeping birds and especially treasured mandarin ducks, which he entrusted to Bunta's care. Around that time, a merchant named Sukehachi from the capital always used Bunta's place as his lodging. Since Oshio loved poetry, she became attached to Sukehachi, and although her parents gradually realized their daughter's feelings, they pretended not to notice because Sukehachi's character was not base or vulgar.