翻刻
予答(よこたへ)て曰(いはく)。まだある
〳〵と素痴(こけ)な道(たう)
念(ねん)みる様(やう)に。安請合(やすうけやひ)に
うけがひてト執筆(ふでをとつ)た
所(ところ)が無(ない)ものは銭金(ぜにかね)と
よい思案(しあん)也(なり)。蓋(けたし)妄作(むたがき)の
茶表紙(ちやびやうし)も。年々歳々(ねん〳〵せい〳〵)
穴相似(あなあいに)て。歳々年々
趣向(しゆかう)新(あたら)しからざれば。一ツ
ぐつと捻(ひねつ)てみた。青楼(せいろう)の
現代語訳
私が答えて言うには、「まだありますよ、ありますよ」と、馬鹿正直にすぐ信じ込むように、安請け合いに承諾してしまった。そして筆を取ったところが、ないものは銭金(金もそうだが)よい思案というものだ。思えば、でたらめに書き散らした茶表紙の黄表紙も、年々歳々どれも似たり寄ったりで、歳々年々趣向が新しくない。そこで、一つぐっとひねってみた。青楼(吉原)の……