翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

島原漂流人太吉物語 - 翻刻

島原漂流人太吉物語 - ページ 10

ページ: 10

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【右側】 と申せは実に尤と夫に同し速に放ちやりしに暫くは いつちへか行けん見へさりしが又その鳥立戻り以前の如く 舟内へ飛入けるその時申は此鳥一度は放ち再ひ立 戻来る事あやし誠や我国の神〳〵我等十三人 の飢餲をあはれみ給ひ食の足しにもと授け玉ふならん 有難しと日の出る方を伏拝みその鳥を包丁して 日々纔つゝ是を喰ふ事数日飢餲を凌きぬ兎にも角 【左側】 にも目に見る物とては天の大空地の青海月日の光 はかり也風荒く波高く舟震動する事やむ事なく 片時眠らはやと思へ共人を鞠のことくあなたへ飛し こなたへ投打ことく舟の内にころけまろひそれにとり付 是にすかり付て身の置所もなく苦しむ事皆人同し 斯る日和には釣する事も及なく食物の題立たる物 とてもなく只酒砂糖の外貯なし鮫大鳥釣の魚にて