翻刻!九州大学の書物たち

コレクション: 漂流記コレクション

島原漂流人太吉物語 - 翻刻

島原漂流人太吉物語 - ページ 12

ページ: 12

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【右側】  祝んと米櫃の底打たゝき舟底迄もさがし求れ共  米一粒たになかりけれはかく天なる哉命なる哉我々  かしこき日の本の国に生れなから年の始に五穀一粒も食  せすして帆楫も絶たる流舟にて年を重る事は  神仏にも見放されたるや十月十二日より明る二月二日  迄百十日にも及ひ其間流れ漂ふ海の上四方に山  なく島見へす我国の舟は元よりよその国の舟筏 【左側】  帆かけし舟も見受されはひろき無舟の海の上我々  乗たる水舟はかり飢に悩み波に労れ未来とも今生  とも夜とも昼とも弁へす只忙然たる十三人の乗組共  言へき事なく聞事なく一思ひにとも思ふ事は  万度そ聞人その時の始終の咄我身の上と引受  て哀れにも不便しれ聞給へかし日々にも夜々にも替  らせ玉はぬは月日の御光斗也明暮せんすべもなけれは