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【右側】
祝んと米櫃の底打たゝき舟底迄もさがし求れ共
米一粒たになかりけれはかく天なる哉命なる哉我々
かしこき日の本の国に生れなから年の始に五穀一粒も食
せすして帆楫も絶たる流舟にて年を重る事は
神仏にも見放されたるや十月十二日より明る二月二日
迄百十日にも及ひ其間流れ漂ふ海の上四方に山
なく島見へす我国の舟は元よりよその国の舟筏
【左側】
帆かけし舟も見受されはひろき無舟の海の上我々
乗たる水舟はかり飢に悩み波に労れ未来とも今生
とも夜とも昼とも弁へす只忙然たる十三人の乗組共
言へき事なく聞事なく一思ひにとも思ふ事は
万度そ聞人その時の始終の咄我身の上と引受
て哀れにも不便しれ聞給へかし日々にも夜々にも替
らせ玉はぬは月日の御光斗也明暮せんすべもなけれは