翻刻
【右側】
その茶碗に又半分斗り外の酒をつき出しけれ共一口
呑跡は不給是は少し味み持先の酒は名酒のよし右丈の
料後言語わかりて承れは七匁弐分の銀一ッの償いにて有
けるよし
此家逗留の内惣家内山中え牛の乳絞りに参りし
折かゝる太吉一人家番して本家ゟ抱へ膳して三ヶ月斗り
留主したる事あり飼置の牛数多也何日も山中へ
【左側】
逗留して牛の乳汁を絞り製法する也乳汁に塩を
入焚詰れは豆麩のことくかたまりける又塩をつよく入
焚詰れは又つよく堅く成後は石の如くに成砥石見たる
如く成けるを家の内の宙に簀子をかきあけ其上に並へ
影干にてならへ置夫を庖丁にてへつり取にかき
落しそれを焼て給煎て給すれとも一度堅まりてより
砕る事なく年中入用〳〵に食用するもの也