翻刻
【右側】
居たる船中にての剛気と今の諂ひ替るは世の
中也と思ひける又一人のわる者の名太吉忘けり
此者は外の小舟の船頭に成近国乗廻り居
候内難船して其者一人は死亡したるのよし
伝へ聞ける
一日本舟の船頭善助是はサンホセにて其所の役人
方へ居けるか役人役用にてサンホセよりツイマハシへ出
【左側】
出張の砌供して参りしに灘中にて荷物積取し《振り仮名:イシ|イスパニヤ【朱】》
ハンヤ舟破船して舟人ちり〳〵に成し其訳を承り
荷物酒砂糖積取れたる訳合主人へ語りしゆへ
役人の威光にて船頭ゟ荷物の弗銀致させ銀
貰ひける其銀所持し主人せわしてマサタランへ親類
懇意の方へ添状出しけるゆへ厚くせわし善助と
阿波の初太郎はマサタラン逗留纔三十日斗にして