翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション3

広益秘事大全 3巻. [3] - 翻刻

広益秘事大全 3巻. [3] - ページ 17

ページ: 17

翻刻

【枠外】   広益秘事大全 【右丁頭書】 にてすりてふくべし ○すべて染物類(そめものるい)鹿子(かのこ)等(とう)に物 のしみたるは流(なが)れ川にてあらふ べし白きものは木槿(むくげ)の葉(は)をも みつけてあらへばしみものよく おちて葉(は)の青(あを)みはつかぬ也 ○漆紋(うるしもん)をおとすには海蘿(ふのり)を ときてあらふべし久しくふりても よくおつる也 ○紋所(もんどころ)のうるみたるは橙実(だい〳〵)の 汁をしぼり紋所(もんどころ)にぬりてぬれ たるうちにうどん粉(こ)をふりかけ 干(ほし)てはらひおとすべししみ物 あかの類(るい)こと〴〵くおつるなり ○藍染(あゐぞめ)の色をぬくには石灰(いしばひ)を あくにたれ絹(きぬ)をいれて煮(に)れば 白絹(しらきぬ)となるなり 【左丁頭書】 ○茶染(ちやぞめ)の色をぬくには酒(さけ)に 水少しさして煮(に)ればぬけて もとの白地(しらぢ)となる也 ○黒(くろ)き絹(きぬ)を洗(あら)ふには濃(こ)く煎(せん) じたるくちなしの汁にてあらふ べし色よくなる也又 風(かぜ)ふく日に 黒糸(くろいと)のぬひ物すれば糸(いと)のつや おつるなり心得おくべし ○茶色(ちやいろ)の衣に白(しろ)きほし出たる は烏梅(うばい)をこくせんじて筆(ふで)にて ほしのうへをぬればもとのごとく に色(いろ)なほる也 ○羅(ら)せいたの垢(あか)をおとすは新(あたら)し き草履(ざうり)のうら又はわらづのう らの毛(け)にてそろ〳〵とすれはよく おつるなり ○衣(きぬ)の垢(あか)を灰汁(あく)にてあらふは 【右丁本文】 一 西瓜(すいくわ)に中(あた)りたるは番椒(たうがらし)を水にひたしてその 汁を飲てよし甜瓜(まくはうり)に中りたるは塩(しほ)を湯(ゆ)に かきたてゝ吞(のむ)べし酒もよし 一 菌蕈(くさびら)【「タケ」左ルビ】の毒(どく)にあたりたるには地(ぢ)を掘(ほり)て水を そゝぎ入れかきまぜ其水の澄(すむ)をまちて多(おほ)く 飲(のむ)べし又 古壁(ふるかべ)の土(つち)を湯(ゆ)にたてゝすまして飲 もよろし又ごまの油(あぶら)もよし山梔子(くちなし)を剉(きざ) みて水にて飲もよろし又 茶(ちや)の芽(め)を粉となし 水にてのむもよし甚(はなはだ)しきに至(いた)らば人(ひと)の糞(ふん) 汁(じう)を飲べし此方(このはう)一切(いつさい)の毒(どく)に中りたるに大に 妙なり又 松茸(まつたけ)にあたりたるは豆腐(とうふ)を食(くひ)て よろし又 茄子(なすび)もよく毒を解(げ)する也 一 酒(さけ)の毒(どく)にあたりたるには菉豆(やへなり)また赤小豆(あづき) 【左丁本文】 などよろし菘菜(あをな)の煮汁(にしる)生藕(なまばすのね)の汁もよし 葛(くず)の花 九年母(くねんほ)の皮(かは)桑椹(くはのみ)沙糖(さとう)いづれもよろし また眼子菜(がんしさい)【「ヒルモ」左ルビ】を焼(やき)て灰(はひ)となして服(ふく)すせんじて 用るも妙なり 一 焼酎(しやうちう)に中りたる人に冷水(ひやみづ)を飲(のま)しむべからず のめば忽(たちまち)に死(しす)るもの也 温湯(あたゝかなるゆ)の中へいれて体(からだ)を あたゝむれば毒(どく)おのづから解(げ)す又 赤躶(はだか)になり てころ〳〵ところげ廻(まは)れば吐却(ときやく)して愈(いゆ)る也 又方 好錯(よきす)を二三 盃(はい)のむもよし大根の汁 胡瓜(きうり) 甜瓜(まくは)の搗汁(つきしる)葛湯(くずゆ)甘草(かんざう)の粉などいづれも妙也 一 油(あぶら)あげものに中りたるは九年母(くねんほ)の皮(かは)せんじ用ゆ 一 諸(もろ〳〵)の魚毒(ぎよどく)に中りたるには干鮝(ひずるめ)を水に煎(せん)し て服すべし又 冬瓜(かもうり)をすりて汁をのむもよし 【枠外】 広益秘事大全          六十五