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【枠外】
広益秘事大全
【右丁頭書】
【挿絵】
【左丁頭書】
居宅営作(きよたくえいさく)の概略(おほむね)
家(いへ)は天日(てんじつ)雨露(うろ)をさけて常(つね)に
身(み)を安(やす)んずる與(ため)まてなれば分(ぶん)を
過て美麗(びれい)を好(この)むべからず仮令(たとひ)
金銀(きん〴〵)に富(とみ)たればとて凡人(ぼんにん)として
貴人(きにん)の居室(きよしつ)のごとき事を似(に)す
るは僭上(せんじやう)奢侈(しやし)といふものなれば
慎(つゝし)むべし但(たゞし)掃除(さうぢ)等(とう)はいかにも
念(ねん)をいれて清浄(しやう〴〵)潔白(けつはく)にす
べし是(これ)気(き)を養(やしな)ひ穢気(ゑき)を払(はら)
ふ養生(やうじやう)の方(みち)なれば也又その作(つく)
りかたによりては甚(はなはだ)不勝手(ふかつて)なる
事ともあれば造営(ざうえい)の初(はじめ)より
能々(よく〳〵)考(かんが)へてつくるべしその心得
になるべき事ともを抄出(せうしゆつ)して
こゝに挙(あ)ぐ
【右丁本文】
一 鼈(すつほん)の毒(どく)にあたりたるは胡椒(こせう)よし藍(あゐ)もよし
一 禽獣(きんじう)【「トリケモノ」左ルビ】おのづから死(しに)たる肉(にく)は果(はた)して毒あり若(もし)
これを喰(くら)へばかならず中る也 急(きふ)に胡葱(あさつき)を剉(きざ)
みて煮汁(にしる)をとりひやし冷(ひや)して多く飲べし生韮(なまにら)の汁
蒜(にゝく)の汁皆よく肉毒(にくどく)を解(げ)す又 古壁(ふるかべ)の土(つち)を水
にて服するもよしその外 蘆根(よしのね)の汁 黒豆(くろまめ)の
せんじ汁 眼子菜(ひるも)の汁などいづれも妙なり
一 犬馬(けんば)の肉(にく)は毒ありこれに中(あた)りたる時には
杏仁(きやうにん)一二合 皮(かは)を去(さり)すりつぶし水に入て滓(かす)を
すて汁を飲べし血(ち)下(くだ)りてかならず愈(いゆ)る也
山査子(さんさし)を加(くは)へて煎服(せんふく)するもよろし甘草(かんざう)
もよろしく人乳(ひとのちゝ)もよし
一 蜈蚣(むかで)蜘蛛(くも)の類(るい)誤(あやまつ)て吞(のみ)たるには鶏(にはとり)の冠(さか)の血(ち)
【左丁本文】
をとり吞(のみ)てよし又 猫(ねこ)の涎(よだれ)を取(とり)て解毒(げどく)
の薬(くすり)を送下(おくりくだ)すべし吐(はき)出して解(げ)すべし猫(ねこ)
の涎(よだれ)は山椒(さんしやう)蕃椒(とうがらし)の類からきものを鼻(はな)にぬ
れば涎(よだれ)をおほく吐出(はきいだ)すなり此涎(このよだれ)よろづ
の虫毒(ちうどく)を解(げ)するものなり
一 諸(もろ〳〵)の毒(どく)を解(げ)する薬は犀角粉(さいかくのこ)藍(あゐ)の汁(しる)
ごまの油(あぶら)人糞(にんふん)黒豆(くろまめ)の汁(しる)地(ち)を掘(ほり)て入(いれ)たる
水 臘月(しはす)の雪水(ゆきみづ)杏仁(きやうにん)韮(にら)蒜(にゝく)五倍子(ふしのこ)を酒(さけ)に
たてゝ呑(のむ)細茶(ちやのこ)白礬(みやうばん)を水にて吞(のむ)などいづれも
諸(もろ〳〵)の毒(どく)を解(げ)す
○諸(もろ〳〵)金瘡(きんさう)の薬《割書:并》介抱(かいはう)の心得(こゝろえ)
一 凡(およそ)金瘡(きんさう)は血(ち)多(おほ)く出るをいむ小なるは指(ゆび)に
ておさへて血(ち)を出すべからず大なるは燈心(とうしん)を
【枠外】
広益秘事大全 六十七