翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション3

広益秘事大全 3巻. [3] - 翻刻

広益秘事大全 3巻. [3] - ページ 22

ページ: 22

翻刻

【枠外】 広益秘事大全 【右丁頭書 下なる器物(うつはもの)を取出しやすし ○家は二階作(にかいづくり)ならば高(たか)くたつ べし低(ひく)きは鬱陶(うつとう)しくてよから ずまた楼(にかい)は見はらしをむねと して何方(いづかた)にても広(ひろ)く見とほ すやうにすべし二かいの窓(まど)のふ ちなどかまち高(たか)きはよからず 坐(ゐ)ながら眺望(ながめ)のあるやうに すべきなり ○屋敷(やしき)の地面(ちめん)は水上(みなかみ)を高(たか)く して水はけのよきやうにす べし悪水(あくすゐ)所々にたまればおの づから湿気(しつけ)の害(がい)ありて病(やまひ)の もとゝなり且(かつ)柱(はしら)などもはやく 腐(くさ)るなり ○こけらぶきの屋根(やね)は大抵(たいてい) 十年にてはくさるものなり膠(にかは)に 【左丁頭書】 明礬(みやうばん)少し加(くは)へて絵(ゑ)のどうさの ことくせんじやねの上にぬり おけば水をはぢきて二十年は くさらず ○茅屋(かやや)をふくに秋刈(あきがり)のかやの 長きをえらびてよく〳〵そろへ なるほど厚(あつ)く念(ねん)をいれてふ かすれば二三十年はこたゆる也 度々 心(こゝろ)をつけてつくろへば五 十年ばかりも持(もづ)ものなり ○茅屋(かやゝ)わら屋 改(あらた)めふかずして 久しくそこねざるふきやうは新(あらた) にふきて四五年の後くさりて ひきくなる所をわらにてもかや にてもさきをまげてさすべし ひきゝ所ばかりさしてはわろし ひきゝ所の下より入てさすべし 【右丁本文】 一 打撲(うちみ)にて気絶(きぜつ)したるは其人を仰向(あふむけ)に臥(ふさ)せ 両耳(りやうみみ)の孔(あな)を力(ちから)にまかせてはたと打 其手(そのて)を 直(すぐ)に押付(おしつけ)てゆるめず眼(め)を開(ひら)くをまちて手(て) を放(はな)つべし又其人の上に跨(またが)りて左右(さいう)の手 にて腹上(はらのうへを)しかと数遍(すへん)なでおろし掌(たなそこ)【「テノヒラ」左ルビ】を臍下(へそのした)に あてウンと息(いき)をつめて一息(ひといき)に上(うへ)へつよくおし 上(あぐ)べし必(かならず)目(め)をひらくもの也其時引おこし項後(えりあと) を強(つよ)く捺(もみ)て背骨(せぼね)をなでおろすべし或は声(こゑ)を たてて呼(よび)いけ背(せな)をつよく打(うつ)もよし必 甦(よみがへ)る也 さて急(きふ)ならば小便(せうべん)を多(おほ)く飲(のま)しむべしされども さやうにもしがたき人には温酒(かんざけ)に飴(あめ)をまぜて のまするもよし瘀血(おけつ)小便(せうべん)に下るなり 一 打身(うちみ)肉ごもりになりたるは接骨木(たづ)【「二ハトコ」左ルビ】蒴藋(にはたづ)【「ソクヅ」左ルビ】 【左丁本文】 いづれにても水にせんじ二三 椀(わん)をのみ且(かつ)痛処(いたみしよ) をたでゝよし又あし毛馬(げむま)の糞(ふん)を熱湯(あつゆ)にた てゝあらふもよし又 蘩縷(はこべ)【「ヒイヅル」左ルビ】の茎葉(くきは)ともにもみ て紺屋(こんや)のりにまぜぬるも妙也 水仙(すゐせん)の根(ね)もよろし 一 打撲(うちみ)痛(いたみ)つよく堪(たへ)がたきは鶏(にはとり)の血(ち)を酒にまぜ てのむべしま又 童便(どうべん)もよろし  ○口中(こうちう)ふくみ薬 一口中はれいたみできものある時は 藜(あかざ)《割書:秋の頃 実(み)と木(き)とひとつに|くろやきにしたる物一匁》桔梗(ききやう)《割書:五分》甘草(かんさう)《割書:同》 右三味粉にしてふくみてよし又方 滑石(くわつせき)甘草(かんさう)二味 末(まつ)にしてさゆにて用ゆ又方 辰砂(しんしや)《割書:中》滑石(くわつせき)《割書:大》甘草(かんさう)《割書:小》三味末して白湯(さゆ)にて用 ゆれば効(こう)あり口中すゞしくなる也