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【枠外】
広益秘事大全
【右丁頭書】
○材木(ざいもく)は檜木(ひのき)を上とすうつく
しくして腐(くさ)ること遅(おそ)し杉(すぎ)これに
次(つ)ぐ然(しか)れども木(き)柔(やはらか)にしてきず
つきやすし松(まつ)は下等(げとう)也こえたる
松を用ゆればいたつて強(つよ)しされど
脂(やに)出て堪(たへ)がたしこえざるは大に
よわし湿気(しつけ)のつよき所には
栗木(くりのき)を用ゆべし大につよくして
腐(くさ)ることなし櫪(くぬぎ)は虫(むし)はみて早
く用にたゝぬなり
○/𤇆(けふり)出(だ)しの穴(あな)は竈(かまど)の真上(まうへ)にあ
くべしわきへよれば煙(けむり)滞(とゞこほ)りて
速(すみやか)に出がたし
○土蔵(どざう)を造(つく)るにはいかにも土(つち)を
厚(あつ)くつけて火のとほらぬを第一
とすべし屋根(やね)をも壁(かべ)と等(ひとし)く
ぬりふさぎて別(べつ)にこけら屋根(やね)を
【左丁頭書】
かりにおほひたるもよし火事の
時 投(なげ)おとして土屋根(つちやね)ばかりにすれ
ば火(ひ)のとほる事なし戸窓(とまど)は
中にも土を手あつくつけて念(ねん)
を入るべしわづかの事にて戸窓(とまど)
よりは火の入やすきものなり
又つねに家(いへ)にちかき方(かた)に物を多(おほ)
くおくべからす火内に入ざれ共【共に濁点】
むせてこがるゝもの也又 土蔵(どざう)は
石垣(いしがき)を高(たか)く築(つく)べからず恰好(かつこう)は
よけれども鼠(ねずみ)蟻(あり)などの穴(あな)より
火を引(ひく)ことはやし若(もし)高(たか)くする
とも石垣(いしがき)の上をも土(つち)にてぬりて
おくべし石垣(いしがき)より火の入たるを
度々(たび〳〵)見たる事ありさてまた
坐(ざ)の下に小き穴(あな)をあけおく時は
風(かぜ)とほりて木柱(きはしら)のくさる事なし
【右丁本文】
【挿絵】
○深山(しんざん)瘴気(しやうき)をはらふ方
一 深山(みやま)に入る人は大蒜(おほひる)【左ルビ「ニヽク」】搗(つき)くだきて雄黄(をわう)を
加へ餅(もち)のことく丸(まる)めて身(み)につくべし一切(いつさい)の
瘴気(あしきき)をはらひ毒虫(どくむし)悪獣(あくしう)を避(さ)く若(もし)傷(きずつ)く事
あらばその瘡(きず)につけて即効(そくこう)ありすべて此方
流疫行(はやりやまひ)また寒暑(かんしよ)のあしき気(き)をさくる事妙也
【左丁本文】
○蝮蛇(まむし)【左ルビ「ハミ」】に囓(かま)れたる薬
一 蝮蛇(まむし)にさゝれたるには柿渋(かきしぶ)を塗付(ぬりつけ)てよし
串柿(くしがき)をかみくだき醋(す)にて付ても妙なり又方
野猪(ゐのしゝ)の心(きも)を乾(かわか)しおき粉(こ)にして付(つけ)或はせんじて
あらふもよし又一方 咬(かま)れたる時 急(きふ)に烟管(きせる)の
厂首(がんくび)にてきびしく疵口(きずぐち)をおほひ力(ちから)をきはめて
おし付て放(はなた)ざればしはしの間に肉(にく)腫(はれ)あがりて
厂首(がんくび)の内一はいになる其時 小刀(こがたな)にて截割(きりさき)て
悪血(わるち)を多くしぼり出すべし又 鉄炮(てつはう)の薬(くすり)を
咬(かみ)たる處(ところ)の大さほともり置(おき)て火(ひ)をつくるもよし
其後(そのゝち)小便(せうべん)にて疵口(きずぐち)をあらひ又は糞(くそ)をつけて
上をまき家(いへ)にかへりて酒(さけ)にてあらひおとして後
熱湯(にえゆ)に灰(はひ)の塊(かたまり)をいれ傷處(いたみしよ)を漬(ひた)すべし初(はじめ)はあつ
【枠外】
広益秘事大全 七十二