翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション3

広益秘事大全 3巻. [3] - 翻刻

広益秘事大全 3巻. [3] - ページ 25

ページ: 25

翻刻

【枠外】  広益秘事大全 【右丁頭書】 されども火事(くわじ)の時 此穴(このあな)をぬる ことを忘(わす)るべからず ○火事(くわじ)の用心(ようじん)に常(つね)に泥(どろ)をた くはへおくべし瓶(かめ)入ればよけれ ども俄(にはか)なる時にもちあつかひにく し又 費(つひえ)も多(おほ)くかゝるなれば酒樽(さかだる) の四斗桶(しとおけ)に入おくもよし口(くち)まで つめおけば長(なが)くもつもの也さて 【挿絵】 【左丁頭書】 事(こと)に臨(のぞ)みて輪(わ)を切(きり)はなせば桶(をけ) くだけて泥(どろ)早(はや)くいづる也これにす さを合せて少しかたきほどにして ひたもの土蔵(とざう)の戸窓(とまど)をぬるべし かたきほどならねば土(つち)すべり落(おち)て ぬり付がたきもの也此土 寒(さふ)き国(くに) にては冬(ふゆ)は氷(こう)りて用(よう)に立(たち)がたし 土をふかくほり水ぬきをつけて かり屋根(やね)をこしらへ貯(たくは)へおくべし ○蔵(くら)はねりへい蔵を第一(だいゝち)とす べし見くるしけれど火の入ると いふ事さらになし柱(はしら)なしに土ばか りにて築上(つきあげ)たる物にて灰小屋(はひこや) のごとき物なり下(した)に一尺ほど石(いし) 瓦(かはら)の類(たぐひ)にて台(だひ)をつきあげそれ より段々(だん〳〵)上(うへ)へ築上(つきあぐ)るなり一段 づゝにて上に苫(とま)をおほひおきよく 【右丁本文】 きを覚(おほ)えざるべし熱(あつ)きを覚(おぼ)ゆれば毒(どく)浅(あさ)くなり たる也ひたものひたして堪(たへ)がたきほどにして止(やむ) べし其後に雄黄(はわう)五霊脂(ごれいし)を粉(こ)となし馬歯莧(すべりひゆ) のしぼり汁にてとき瘡口(きずぐち)をよけてまはりにぬり 上をつゝみおくべし又右の二味を酒(さけ)にて酔(ゑふ)ほどに 内服(ないふく)すべしいつれの薬(くすり)を用ひたる後にても 酒(さけ)を酔(ゑふ)ほどにのみてよし 又 急(きふ)なる時は烟管(きせる)を火にて焼(やき)やにのわき流(なが)るゝ を直(すぐ)にきずの上にそゝぎかけて熱(あつ)きを忍(しの)ぶべし 多(おほ)くかくるほどよし  ○蜂(はち)に螫(さゝ)れたる薬 一 蜂(はち)にさゝれたるは明礬(みやうばん)を生(なま)の天南星(てんなんしやう)の汁 へいれてあらふべし又 葱(ねぎ)の白根(しろね)を敷(しき)て灸(きう)を 【左丁本文】 するもよし又 朝貌(あさがほ)の葉(は)蒼茸(をなもみ)の葉(は)蓼(たで)の葉 薄荷(はくか)の葉 山椒(さんしやう)の葉などすり付るみな妙なり 塩(しほ)をぬり熱湯(あつゆ)にひたすなどもよし  ○毛虫(けむし)にさゝれたる薬 一 伏龍肝(ふくりうかん)《割書:竈(かま)の下(した)の|やけ土なり》を水にてつけてよし馬歯莧(すべりひゆ) をつきて付るもよしその外 藍(あゐ)の汁(しる)雪(ゆき)の下草(したぐさ) の葉(は)の汁 呉茱茰(こしゆゆ)【左ルビ「グミ」】の葉など諸虫(しよちう)のさしたるに つけて妙なり  ○蜈蚣(むかで)にさゝれたる薬 一むかでのさしたるには鶏卵(たまご)をぬりてよしまた 蛞蝓(なめくじり)蝸牛(てゝむし)などをつぶしてぬるも妙なりまた 蒜(にゝく)蓼(たで)の葉 塩(しほ)などいづれもよろし又 蜘蛛(くも)を とらへて瘡(きず)の處におけば蜘蛛(くも)おのづからその毒(どく)