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【枠外】
広益秘事大全
【右丁頭書】
【挿絵】
彩(いろど)りて花麗(くわれい)なるは常(つね)にこれを
見て欲心(よくしん)ふかくなり災(わさはひ)となると
居家(きよか)必用(ひつよう)にいへりさもあるべし
○畳(たゝみ)は廻(まは)り敷(じき)にすべし床(とこ)の前(まへ)
は横(よこ)にしくべし横畳/四畳(よでう)は並(なら)
ぶべからず
○居間(ゐま)と閨(ねや)との庭(には)にはいやしき
雑木(ざふぼく)を植(うへ)べからずよき木を
【左丁頭書】
少しうゑて文石(ぶんせき)を以て友(とも)とす
べし
○居間(ゐま)の軒(のき)ちかく草木(さうもく)を多
く植(うゝ)れば陰気(いんき)ふかく夏秋(なつあき)の
ころ豹脚(やふか)おほく昼(ひる)もいでゝ
人の肌(はだへ)を食(くら)ひて堪(たへ)がたし
○家の北の境(さかひ)には竹をうゝべし
北風をふせぎて冬(ふゆ)暖(あたゝか)なるに
火災(くわさい)の用心(ようじん)ともなるなり西に
植(うゝ)るも又よし夏(なつ)は日をふせぎ
冬(ふゆ)は風をふせぐなり
○宅地(たくち)広(ひろ)くば棟(むね)を二ッ三ッに
もわけて廊下(らうか)をかくべし風流(ふうりう)
にして見處(みどころ)あり又/明(あか)りの為(ため)に
よろしく煩雑(はんざつ)の音(おと)聞えず
して都合(つがう)よしもし廊下(らうか)を
費(つひえ)なりとおもはゞそのうらの方(かた)
【右丁本文】
○病狗(やまいぬ)にかまれたる薬
一/狗(いぬ)にかまれたるも大事(だいじ)にいたる事あるもの也
急(きふ)に瘡口(きずぐち)より血(ち)をしぼり出し或は鍼(はり)にてその
囲(まはり)の血(ち)をさして出し人に小便(せうべん)を多(おほ)くしかけ
さすべし大勢(おほぜい)立代(たちかは)りてかくるほどよし其後
胡桃(くるみ)の殻(から)を二ッにわりて人糞(にんふん)をつめ傷(きず)の上へ
おほひふせて其上に大なる灸(きう)百ばかりすう
べし胡桃(くるみ)なき時は何(なに)にてもがわになる物をおき
て糞(ふん)をつめ其上に灸(きう)する也其後/杏仁(きやうにん)をすり
て泥(どろ)のごとくし厚(あつ)くつけてぬり封(ふう)じ木綿(もめん)にて
しかとつゝみ巻(ま)くべし血(ち)は流(なか)れ出るほどよし
さて翌日(よくじつ)杏仁(きやうにん)を去(さり)て又前のごとく灸(きう)をし
膽礬(たんはん)を末(まつ)とし瘡口(きずぐち)へふりかけつゝみおき其後(そのゝち)
【左丁本文】
は毎日(まいにち)膽礬(たんはん)を酒(さけ)にてあらひおとして灸(きう)し
灸しては又/膽礬(たんはん)をかけ血水(ちみづ)出る間(あひだ)はいつまでも
如是(かのごとく)すべし血水(ちみづ)止(やみ)たらば再(ふたゝび)前(まへ)のごとく杏仁(きやうにん)
をぬりておくべし《割書:膽礬のいたみにたへがたき人は杏仁ばかり|にてもよし又/葱(ねぎ)の白根(しらね)もよし》
内薬(ないやく)は杏仁(きやうにん)一匁/馬銭(まちん)五分水/二盃(にはい)を一盃にせんじ
少しづゝ度々(たび〳〵)のむべしさて韮(にら)をつきしぼりて
その汁を一/盃(はい)ヅヽ五六日に一度のむべし
又方/防風(ばうふう)升麻(しやうま)葛根(かつこん)甘草(かんざう)《割書:各三分》杏仁(きやうにん)《割書:壱匁五分》右
のごとくせんじて服(ふく)す尤(もつとも)効(こう)ありまた蝦蟇(ひきがへる)【左ルビ「ガマ」】を生(なま)
にて皮(かは)を去(さり)膾(なます)として柚橘(ゆみかん)の類(るい)をあしらひ多(おほ)く
くらふもよし
○同禁忌(おなじくきんき)の心得
一/病狗(やまいぬ)にかまれたる人はきびしく養生(やうじやう)すべし
【枠外】
広益秘事大全 七十五