翻刻
【枠外】
広益秘事大全
【右丁頭書】
やがて陰(くも)りて晴(はれ)ざるは風雨
となるべし
○数日(すじつ)雨ふりて後(のち)日出て
はやく晴(はる)るはかへつて雨ふる
朝(あさ)くもりてやう〳〵遅(おそ)く晴
るはよし
○明日(あす)の日和(ひより)は今晩(こんばん)の日の
入る時に見るべし日の入る時
よく照(て)るは晴(はれ)雲(くも)の中(うち)に日
入るは夜半(よなか)の後(のち)に雨となる
然(しか)らずは明日(あす)かならずふる也
日入て後やうやく紅粉(べに)の
ごとくにしてやがて色(いろ)かはるは
風ふきもしくは雨ふる日の入る
時 雲(くも)赤(あか)けれども其色(そのいろ)か
はらず漸(やう〳〵)うすくなりて消(きゆ)る
はよし黒雲(くろくも)日の入につゞくは
【左丁頭書】
明日 天気(てんき)よからず西に黒雲(くろくも)
あれども日の入る時雲なく
日のかたち見えて入れば明日
も雲はれて天気よし
○赤(あか)き雲気(うんき)日の上下にある
時は大風ふく但(たゞ)し色(いろ)変(へん)ぜず
してやうやく薄(うす)くなるときは
晴てまた風もふかず日の色
黄(き)に見ゆるは風なり
○白気(はくき)日月の上下にひろく
しくは三日の内に悪風(あくふう)雨あり
○日に耳(みゝ)あるに南にあるは
晴(はれ)北にあるは雨 両方(りやうはう)に耳あ
るときは雨なし又耳ながく
して下へたるゝは久しく晴と
知るべし
○月(つき)に暈(かさ)あるは風かならず
【右丁本文】
所(ところ)に鍼(はり)を浅(あさ)くたて鍼(はり)の口(くち)に右の葉を付ておけ
ば其所(そのところ)へよるなり但(たゞ)し色(いろ)のつかぬ中(うち)にのくる也
○腫物(しゆもつ)押(おし)薬
一 犬山椒(いぬさんしやう)の若葉(わかば)を陰干(かげぼし)にして粉となし天南(てんなん)
星(しやう)三分一入て梅酢(むめず)か米(こめ)の酢(す)にて付べし
○疵(きず)癒(いや)し薬
一 水仙(すいせん)の根(ね)を摺(すり)て付べし忽(たちま)ちいゆる事 妙(めう)なり
○瘤(こぶ)落(おと)し薬
一 丹礬(たんはん)をこよりにより込(こみ)瘤(こぶ)を結(むす)びおくべし
自然(しぜん)にだん〳〵としめよせ終(つひ)に落(おつ)るなり
○餅(もち)の咽喉(のど)につまりたるを治(ぢ)する方法
一 土龍(うころもち)を黒焼(くろやき)にして吞(のま)すべし頓(とみ)に下るなり
又ぢわうせんをくふべし通(とほ)るなり
【左丁本文】
○打撲(うちみ)の薬
一 温飩(うんどん)の粉(こ) 一 楊梅皮(やうばいひ)【「ヤマモヽノカハ」左ルビ】 一 石灰(いしばひ)
右三味 等分(とうぶん)に合せそくひにてねり丸(ぐわん)し吞(のむ)べし
もし急(きふ)なる時は右の散薬(さんやく)【「コクスリ」左ルビ】 を水(みづ)にて用(もち)ゆ
○手足(てあし)を折(くじ)きたる薬
一 水仙(すいせん)を根(ね)葉(は)ともに黒焼(くろやき)にして梅干(むめぼし)とそくひ
におし合(あは)せ付べし又 芭蕉(ばせを)を根(ね)葉(は)ともに粉(こ)にし
そくひにおしまぜ付るもよし
○同 骨(ほね)砕(くだ)けたるには
一 楊梅皮(やうばいひ)を煎(せん)じてよくたで洗(あら)ひ其(その)滓(かす)を
よくすりて違(ちが)ひたる所に付て置べし一時(ひとゝき)ばかり
ありて砕(くだ)けたる骨(ほね)もなほりちかひたる所も速(すみやか)
に癒(いゆ)るなり《割書:石菖蒲(せきしやうぶ)を根葉ともにせんじて|あらふもよし》
【枠外】
広益秘事大全 七十七