翻刻
【枠外】
広益秘事大全
【右丁頭書】
暈(かさ)のかげたる方(かた)より来る
○月初(つきはじめ)二日三日まで月見え
ざればその月風雨しげし
○新月(しんげつ)下へそりてかけたる弓
のごとく上にたまりなきは其
月雨すくなくかぜ風(かぜ)多(おほ)し仰(あふ)のき
て上にたまりあるは其月(そのつき)雨多
し新月(しんげつ)の下に黒雲(くろくも)横(よこた)はるは
明日雨ふる
○月はじめて生(しやう)じ形(かたち)小にして
はゞ大なるは水のわざはひ有
かたち大にしてはゞ小なるは
三日のうちに雨ふる
○白気(はくき)月をつらぬくは夏(なつ)は
大水(おほみつ)秋は風ふく黒気(こくき)月を
つらぬくは夏(なつ)は大水春秋も水
又は陰(くも)ると知べし
【左丁頭書】
○月の傍(そは)に黒雲(くろくも)おこるは大
水月の上下 黄(き)なる雲くらく
覆(おほ)ふはお大風
○日の色(いろ)白(しろ)く夜(よる)月の色(いろ)赤(あか)き
は旱(ひでり)せんとする兆(きざし)なり日の色
あかく夜(よる)月の色白きは雨の兆(きざし)
なり又日の色 青(あを)く夜月の色
青きは寒(かん)の兆(きざし)なり
【挿絵】
【右丁本文】
○痣(あざ)ぬき薬
一六月に藜(あかざ)をとり黒焼(くろやき)にして石灰(いしばひ)と砥(と)石と
三色合せ壷(つぼ)に入れ水を浸々(ひた〳〵)に入れ其内(そのうち)へ
餅米(もちごめ)をいれ夏(なつ)は日に干(ほ)し冬(ふゆ)は竈(かまど)の際(きは)に置(おき)
米とろけたる時 竹箆(たけべら)にて痣(あざ)をこそげ血(ち)を出し
其上に右の薬をぬり紙(かみ)を蓋(ふた)にして付おくべし
落(おつ)ること妙(めう)なり《割書:疣(いぼ)ほくろ共に此方にてみなおつる也》
○癜(なまず)を治(ぢ)する薬
一 蛇脱(へびのきぬ)を焼(やき)酢(す)にてつけてよし紫癜(くろなまず)は硫黄(いわう)を
酢(す)にて煮(に)て茄子(なすび)のへたに浸(ひた)して頻(しきり)に付べし
蛇脱を水にてせんじ洗(あら)ひてもよし白癜(しろなます)は肉(にく)
桂(けい)を末(まつ)として唾(つば)にて付てよし
○虫喰歯(むしくひば)を治する薬
【左丁本文】
一むしくひ歯(ば)にて難義(なんぎ)なる時は天南星(てんなんしやう)を粉(こ)に
して大根(だいこん)のしぼり汁(しる)にて一滴(ひとしづく)のべていたむ方
の耳(みゝ)へ入(いる)れば忽(たちま)ちに痛(いたみ)やむ若(もし)両方(りやうはう)ながら
いたむときは両方(りやうはう)の耳(みゝ)へ入るなり
○同まじなひの法
一 芹(せり)《割書:白根(しらね)を去(さり)て|一にぎり》 一 甘草(かんざう)《割書:少(すこし)》
右(みぎ)常(つね)のごとく一盃半(いつはいはん)を一盃(いつはい)にせんじあげ口(こう)
中(ちう)にふくみてよし又 伊勢白粉(いせおしろい) 蒜(にゝく)二味を
蜆貝(しゞみかひ)一はいに入 手(て)の大指(おほゆび)手くびの間(あひだ)の陷中(くぼみ)
【手の絵】此(この)●点(てん)の處(ところ)《割書:指(ゆひ)をそらせば|くぼみできる也》へ右の貝(かひ)をおし
つけおき上をよくくゝりおけば治(なほ)ること妙なり
但(たゞ)し虫(むし)くひ歯(は)左(ひたり)ならば右(みぎ)右ならば左 両方(りやうはう)な
らば両方どもくゝり付てよし
【枠外】
広益秘事大全 七十八