翻刻!江戸の医療と養生

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広益秘事大全 3巻. [3] - 翻刻

広益秘事大全 3巻. [3] - ページ 5

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【枠外】広益秘事大全 【右丁頭書】 ○檳榔子染(びんらうじぞめ)はどろ染(ぞめ)に粗(ほゞ)同 じくしてどろ染よりはつよく 久しくやぶれず其方 檳榔子(びんらうじ)《割書:六匁》石榴皮(ざくろがは)《割書:六匁五分》 五倍子(ふし)《割書:十八匁》 下地(したぢ)を藍(あゐ)にて空色(そらいろ)にそめ右の 三 種(しゆ)をきざみ水七升五合ほど 入れ五六升ばかりにせんじ四五 へんそめて染あげを砥水(とみづ)に一 夜ひたし明朝(あけのあさ)取(とり)あげよく〳〵 すゝきてほす也 ○黒茶染(くろちやぞめ)は下地(したぢ)を藍(あゐ)にて こくそめ其上をあたらしき山 もゝの皮をせんじて六七へんそめ その上に泥(どろ)を水にてとき右の 染物(そめもの)を小半時ほど浸(ひた)しおき取 あげほして又 泥水(どろみづ)にひたすべし 【左丁頭書】 【挿絵】 二へんひたせば色(いろ)濃(こ)くなるなり 泥(どろ)につけ巻(まき)てそむべし或は楊梅(やまもゝもの) 皮(かは)を用ひずなしの木のかうを 用ゆるはまされり寒(さむ)き時は泥(どろ)を 熱湯(あつゆ)にてときてそむべし  世(よ)に大師染(だいしぞめ)などいひて地を  ほりて其 泥水(どろみづ)にて布(ぬの)を染るに 【右丁本文】 その証拠(しやうこ)は犬(いぬ)猫(ねこ)鶏(にはとり)鼠(ねずみ)の類(るい)つひに難産(なんさん)して 死(しに)たる事なきは無智(むち)なる故に死(し)を畏(おそ)れず唯(ただ) 天然(てんねん)にまかせて気遣(きづか)ひせぬが故(ゆゑ)なりさればと て見持(みもち)も心持(こゝろもち)も放埓(はうらつ)にして禁忌(きんき)の食物(しよくもつ)をも いとはず分(ぶん)に過(すぎ)たる力業(ちからわざ)をし手のとゞかぬ物 を及(およ)びごしに強(しひ)てとるなどは態(わざ)と難産(なんざん)を もとむるが如き物なれば尤(もつとも)慎(つゝし)むべし中にも 懐妊(くわいにん)の後(のち)は夫婦(ふうふ)交合(まじはり)をもかたく戒(いまし)むべし 五月(いつつき)を越(こえ)ては殊更(ことさら)に慎(つゝし)むべしこれに背(そむ)きて 難産(なんさん)となる事 世間(せけん)十にして七八なるべし そのうへに懐妊(くわいにん)をば病(やまひ)のごとく心得て養生(やうじやう)と 号(がう)して身(み)をつかはず安逸(あんいつ)にして居(を)るゆゑに 食物(しよくもつ)こなれず且(かつ)何ともなきに薬(くすり)をもとめて 【左丁本文】 飲(のみ)などするより胎(たい)をさまたげて却(かへつ)て病(やまひ)を おこす事あり薬(くすり)は加病(かびやう)なければ決(けつ)してのむ べからず如此(かくのごとく)してあらば世(よ)に難産(なんざん)といふ事は あるまじき理(り)を能々(よく〳〵)考(かんが)へおくべきなり  ○産(さん)をする時の心得(こゝろえ) 一 産(さん)すべき時に臨(のぞ)みて腹(はら)つよくいたむとも 少しも驚(おどろ)くべからず又 立騒(たちさわ)ぎて驚(おどろ)かすばか らず只(たゞ)生(うま)るべき時に生(うま)るべしと心を安(やす)らかに もちてあるべきなり時(とき)に至(いた)らざる内はいか程 急(いそ)ぎても生(うま)るゝ物にあらず時(とき)至(いた)らざる内に しひていきむ故に横子(よこご)逆子(さかご)などの難産(なんざん)と なる事 多(おほ)し慎(つゝし)むべし生るべき時 来(きた)れば内 よりおのづからいきみを催(もよほ)すもの也その時(とき)みづ