翻刻
【右丁頭書】
○七りやう染 赤(あか)きい色なり
木綿(もめん)壱反そむるに蘓枋(すはう)五十匁
黄蘗(きわだ)十五匁山もゝの皮十五匁
こえ松十五匁くれ竹(たけ)の葉(は)十三匁
明礬(みやうばん)七匁右六色を飯椀(めしわん)に水
六はい入れ三ばいにせんじさて
二 番(ばん)せんじには七はい入れ三 盃(ばい)
にせんじ三 番(ばん)には水八はい入れ
三はいにせんじさて一番二番三
ばんともひとつにあはせ明(みやう)ばんを
粉(こ)にして入れ三へんそむる也
○かしは染(ぞめ)は黒色(くろいろ)也久しく
なりても色(いろ)変(へん)ぜず又よわくも
あらず其方 柏(かしは)の葉(は)を多(おほ)く
とりて濃(こ)くせんじ布帛(ぬのきぬ)を簇(しい)
子(し)にてはりて右のせんじ汁を
数十 遍(へん)はけにて引 其後(そのゝち)泥(どろ)にて
【左丁頭書】
一時(ひとゝき)あまりひたしおきてあらひ
おとすなり
○正平(しやうへい)小紋(こもん)ぞめの法
荏油(えのあぶら)壱升 密陀僧(みつだそう)十匁
滑石(くわつせき)一匁 明礬(みやうばん)一匁《割書:各粉|にして》
軽粉(けいふん)一匁 右 荏(え)の油にいれ
かきまぜいかにもぬるき火にて
一日も煎ずへし若(もし)火(ひ)つよければ
こげつくゆゑ油断(ゆだん)なく底(そこ)を
かきまぜてねるべしよき時分(じぶん)に
藁(わら)のくきを油(あぶら)の中にたてゝ
見しばらく立(たち)てあるほどの時を
よき時とす又 泡(あわ)きえて後(のち)油
を紙(かみ)に付てこゝろみるに多く
ちらぬほどをよしとすさて此油(このあぶら)
をせんじて後 陶(とくり)にいれおきて
入用の時出しつかふべし久しく
【右丁本文】
益母草(やくもさう)を加(くは)ふべし又 胞衣(ゑな)おりざるには萆麻(ひま)
子(し)の皮(かは)を去(さり)すりくだきて足(あし)のうらに付べし
下(くだ)れば洗(あら)ひ去(さる)なり
○同 横逆産(よこゞさかご)手足(てあし)先(まづ)出るまじなひ
一 横逆産(よこゞさかご)にて児(こ)の手足(てあし)先(まづ)出る時は其 父(ちゝ)の名(な)
を出したる手足(てあし)にかくべし忽(たちまち)順(じゆん)に生(うま)るゝ也
【挿絵】
【左丁本文】
○懐妊(くわいにん)したるを試(こゝろむ)る法
一 芥(もぐさ)を酢(す)にひたし火にかけてかわかし服(ふく)す
べし腹(はら)いためば孕(はら)みたるなりいたまざるは
懐妊(くわいにん)にはあらず
○子(こ)腹中(ふくちう)にて死(し)したる時の薬
一 竈(かまど)の下の灰(はひ)のしたのやけ土(つち)を粉(こ)にして三
匁 酒(さけ)にて飲(のむ)べし此方 横子(よこゞ)逆子(さかご)にもよろし
また大豆(まめ)を酢(す)にてせんじてのむもよし
○産後(さんご)血上(ちあが)り眩(めまひ)する時の方
一 黒漆(くろうるし)にてぬりたる物を何にても火(ひ)に焼(やき)て
産婦(さんふ)の鼻(はな)へそのけふりを入るべし又 竈(かまど)の下
の土を酒にてのむもよろし
○産後(さんご)陰門(いんもん)のひろがりて閉(とぢ)ざる方
【枠外】
広益秘事大全 五十五