翻刻
諸品(しよひん)を含(ふく)むの物体(ぶつてい)若(も)し腐敗(ふはい)する時(とき)は此(この)諸(しよ)
品(ひん)のみ腐敗(ふはい)せずして遺留(ゐりう)するなり
窒素(ちつそ)を含(ふく)める諸物(しよぶつ)の腐敗(ふはい)は殊(こと)に堪(た)ゆべか
らさるの悪臭(あくしう)を発(はつ)するを以(もつて)正(まさ)に此(この)気(き)を含(ふく)
める事(こと)を察知(さつち)すべし又(また)窒素(ちつそ)を含(ふく)まざる物(もの)
は臭(しう)を発(はつ)すること自(おのづか)ら微小(びせう)なり
腐敗(ふはい)に趣(おもむ)くの諸物(しよぶつ)其(その)化学上(くわがくしやう)の分解(ぶんかい)は正(まさ)に
如何(いか)んが経過(けいくわ)し去(さ)ると云(い)ふに大概(たいがい)次(つぎ)に述(のぶ)
るの順次(じゆんし)を遂(を)ふべし先(まつ)第一(たいいち)には気中(きちう)の酸(さん)
素(そ)を引(ひき)て全然(ぜんぜん)其(その)炭素(たんそ)と合(がつ)し或(あるひ)は左(さ)なくも
強半(きやうはん)なれと合(がつ)して炭酸(たんさん)と為(な)り気状(きぢやう)を為(な)し
て飛散(ひさん)す故(ゆへ)に腐敗(ふはい)は決(けつ)して自(みづか)ら分解(ふんかい)する
の名義(めいぎ)を保(たも)たずこれ則(すなはち)有機体(いうきてい)は他(た)のこれ
を化(くわ)せしむるの能力(のうりよく)ある諸物(しよぶつ)外(ほか)より透徹(とうてつ)
して直(たヽち)に其(その)侵入(しんにふ)作用(さよう)に触(ふ)るヽにあらざれ
はこれを隔(へだ)て覆(を)ふものある間(あいだ)は自己(じこ)より
して腐敗(ふはい)の作用(はたらき)を現(あら)はすことなし下条(かでう)縷(る)
説(せつ)する所(ところ)は諸般(しよはん)なる防腐(ぼうふ)の方術(はうじゆつ)の諸物(しよぶつ)の