翻刻
の浸透(しんとう)を遏絶(あつぜつ)するなりこの固封(こほう)の法(はふ)其(その)冝(よろし)
きに適(てき)する時(とき)はこれを貯(たくは)ふること年(とし)を経(へ)
て敗(はい)することなく又(また)其(その)美味(びみ)を変(へん)すること
なし然(しか)りと雖(いへとも)少(すこ)しにても筒内(たうない)に於(おい)て外気(ぐわいき)
の残留(ざんりう)するものあるときは徐々(じよ〴〵)として腐(ふ)
敗(はい)に趣(おもむ)き以(もつて)其(その)防腐(ぼうふ)の功(こう)を阻(そ)するに至(いた)るべ
し外気(ぐわいき)の残留(ざんりう)する者(もの)あれば一種(いつしゆ)気類(きるい)〈炭酸(たんさん)
気(き)〉を生(しやう)じこれに由(より)て筒(とう)の首尾(しゆび)両端(りやうたん)平底(へいてい)を
為(な)すの部(ふ)著(いちじる)しく孕胎(ようたい)隆起(りうき)を為(な)すなり右(みぎ)の
如(こと)くに炭酸(たんさん)を生(しやう)ずるの機(き)ありと雖(いへども)肉(にく)の分(ぶん)
解(かい)腐敗(ふはい)するは極(きは)(きは)めて緩慢(くわんまん)にして常(つね)に著然(ちよせん)
たる腐敗(ふはい)を見(み)ることなし
凡(およそ)腐敗(ふはい)の際(あひだ)に生来(しやうらい)する諸物(しよぶつ)は炭酸(たんさん)の外(ほか)即(すなわち)
第二(たいに)の生来物(しやうらいぶつ)ありこれ唯(たヾ)窒素(ちつそ)を含蓄(がんちく)する
諸物(しよぶつ)に於(おい)てこれを生(しやう)ずることを見(み)る所(ところ)に
してこの物(もの)の腐敗(ふはい)に於(おい)ては殊(こと)に徴(ちよう)すべき
所(ところ)の一物(いちぶつ)なり即(すなわち)これをアムモニア《割書:揮発灰(きはつくわい)|汁塩(じふゑん)》
と名(なづ)くこれ則(すなはち)水(すい)窒(ちつ)二素(にそ)の親和(しんくわ)より生(しやう)ずる