翻刻
其(その)熱(ねつ)に乗(じよう)して溶解(ようかい)せる稠厚(てうこう)なる護母(ごむ)を以(もつて)
塗(ぬ)るべしこれにはゴムの十分(しうぶん)乾燥(かんさう)し且(かつ)亀(きん)
裂(れつ)することを拒(ふせ)く為(ため)に沙糖(さたう)舎利別(しやりべつ)を少々(せう〳〵)
加(くわ)ふべし而(しかふ)して乾(かは)ける後(のち)に炭末中(たんまつちう)に貯(たくは)ふ
べし
第五 防腐(ばうふ)諸品(しよひん)用法(ようはふ)
これ已(すで)に上(うえ)に論(ろん)ぜし如(ごと)く防腐分(ばうふぶん)を第一(だいいち)と
すこれ煙分中(ゑんぶんちう)或(あるひ)は木醋(ぼくさく)の内(うち)に存(そん)する成分(せいぶん)
なり煙(えん)を熏(ふす)べ或(あるひ)は木醋(ぼくさく)の内(うち)に置(お)くときは
其(その)防腐(はうふ)の力(ちから)最上(さいしやう)至極(しごく)に強牢(きようろう)なることは職(しよく)
としてこの防腐分(はうふふん)に由(よ)るなるべし
リスベル氏(し)は肉(にく)に塩(しほ)を擦入(さつにふ)し或(あるひ)は又(また)屢(しば〳〵)硝(せう)
石(せき)を擦入(さつにふ)してこれを熏室中(くんしつちう)に煙蒸(えんしよう)するな
りこれを熏(くん)ずるに焚(た)く所(ところ)の材(ざい)は冬月葉(たうげつは)を
脱(だつ)するの樹(き)を撰用(せんよう)すべしこれを用(もち)ゆれは
正(まさ)にデンネン樹(じゆ)の材(さい)に勝(まさ)れりこれデンネ
ン木(ぼく)は脂(やに)あるを以(もつて)肉(にく)に其(その)臭(か)をうつし味(あしはひ)を
損(そん)せしむればなり肉(にく)を熏するの一大(いつたい)主条(しゆでう)