翻刻
するを防(ふせ)ぐの拒力(きよりよく)唯(たヾ)一定(いつてい)時限(じげん)ありて炭化(たんくわ)
剥脱(はくだつ)すれば其(その)力(ちから)は亦(また)止(や)むなり
敗水(はいすい)を再(ふたヽ)び食(くら)ふべく改復(かいふく)するには木炭(ぼくたん)を
以(もつて)第一(たいいち)の主剤(しゆざい)とす且(かつ)其(その)功力(かうりよく)も亦(また)甚(はなはた)多(おほ)しと
す故(ゆへ)にこれを用(もち)ゆるの物料(ぶつれう)は殆(ほと)んどこれ
に限(かぎ)れり其(その)法(はふ)は漉術(ろくじゆつ)の条(でう)に詳(つまびら)かなり
又(また)一方(いちはう)ありこれ改復(かいふく)して清潔(せいけつ)なること十(じふ)
分(ぶん)ならずと雖(いへども)亦(また)時々(じ〳〵)用(もち)ゆるの法(はふ)なり是(これ)則(すなはち)
少許(せうきよ)の明礬(みやうばん)を加(くわ)ふるなり〈七罕(しちかん)《割書:我(わが)三升(さんしやう)|八合余(はちかふよ)》の水(みづ)
に一(いち)ダラクマ《割書:我(わか)一(いち)|匁(もんめ)》の明礬(みやうばん)を加(くわ)ふ〉これに由(より)
て大(おほひ)に清亮(せいりやう)に復(ふく)し水中(すいちう)に溶解(ようかい)する所(ところ)の有(いう)
機体(きてい)を沈澱(ちんてん)せしむることを得(ゑ)たり然(しか)れど
も其(その)臭気(しうき)は終(つい)に消散(せうさん)せしむること能(あた)はず
然(しか)るに水(みつ)の敗(やぶれ)んとするに先(さきだ)つて防腐(ばうふ)の薬(くすり)
を投(とう)ずるときは其(その)猛力(まうりよく)に由(より)て大功(たいかう)を見(あら)は
すこと必(ひつ)せり