翻刻
丸柚干(まるゆびし)の仕かた
一これも柚釜(ゆかま)にして。しばらく水に漬(つけ)をき。取あげ
雫(しづく)をたらし。ごまみそをすりて。半分ほど入る也。但し
うる米(こめ)の粉(こ)を合す也。かやくは榧(かや)の小口切。麻(を)の実(み)
此外見合に何(なに)なりとも入て。右柚釜に柚の蓋(ふた)を
して。せいろうにてむす也。扨よき日に干(ほし)をけは
翌年(よくねん)まで持(もつ)也。但三四月過(すき)てかび申しそう候はゝ。ごまの
油(あぶら)を帋(かみ)につけて。ぐるりよりとくとふき申候へば
かび出(いで)申さず候
花柚干(はなゆひし)のしかた
一これは人々のする事なれども。此仕かたは心姿出来
候やうにしるす。餅柚(もちゆ)の大きなるを五つほど皮(かは)を
むき。白皮(あまかは)をさりて。又実(み)を出し。汁(しる)の捨(すた)らぬやうに
こま〵にたたき。すり鉢に入てすり申候。但 白砂糖(さとう)
を入てすれば。はやくすれ申事妙(めう)なり。此中へまた
白みそを二合ほど入。是もよくすり合。又うる米の
粉(こ)を一合入。上々の葛(くず)粉を二はい。酒すこし入よく
すりまぜ。板(いた)の上に。うる米のこをふりかけ。此う上(うへ)へ