翻刻
此ままに又むし申候也。少し和(やは)らかになりては板(いた)の
上(うへ)にてすり木(ぎ)にてうどんのへりにのばし。扨
見合に切る(きる)也。うつくしき壺(つぼ)か箱(はこ)かに入をき候へば
取(とり)肴(さかな)によし。大薬也此みそ豆 をけひと 事 秘傳(ひでん)也
柚 薬酒(くすりさけ)の仕方
一 餅柚(もちゆ)を木取にして。焼酎(しやうちう)五合。美琳酎五合
合て一升に。大柚の木取をりうずよりとり候て
十ほど入る。是もよき壺(つぼ)に入。口をとくとして
上を渋帋(しぶかみ)にてつつみ。扨人のふまぬ水気(みずけ)の
かからぬ所の地(つち)をほりて。此つぼの上へ。箱(はこ)か四斗(しと)
樽(たる)をかぶせ。上(うへ)へも土をならし申候也。但しふかさ
三尺ほどに堀(ほる)べし。扨冬より仕込(しこみ)候へば翌年(よくねん)
正月 末(すへ)かたに出し申候也。但し冬十月の節(せつ)に
仕候へば寒前(かんまへ)に出す。但しそろりと小口をかた
ふけ。柚のつぶれぬやうに酒(さけ)を出し。氷(こほ)りをろしを
少づヽ入りてのむべし又はあたゝめ酒にてもよし
是にぶし。肉桂(にくけい)。ういきやう。右いづれも粉(こ)にして
入。酒をあたためて飲(のめ)ば。第一 積気(しやうき)に妙薬也