翻刻
料理かた。百余品有也。まづ当/冬(ふゆ)の料理かたに
もちゆるため。秘書(ひしよ)の中よりゑり出し爰に記す
扨此めしの仕(し)かたは。十月の節に入たるを。大柚なら
ば。廿ほど皮(かは)をむき。白きあま皮を能すき取
長さ五分ほどにせん切にする。《割書:但しすいふん|うすくむく》かならず
水をつかふ事をいましむ。扨また袋(ふくろ)の白すじを
とり。たねをとりて。汁のすたらぬやうに。まな板
の上にてこま〳〵に切。すりばちに入て。よくする
なり。扨めしをたくには。新米の白/搗(づき)を。右
柚廿の所へ。壱升能々/洗(あら)ひて。水を一割がたひかへ
焚(たく)也。扨黒/胡麻(ごま)を二合/煎(いり)て右のめしにまぶし
又せん切の柚も入れ。杓子(しやくし)にてよくかきまぜる
なり。扨また上々の醤油と小杯(こさかづき)に一/盃(はい)半分入る
扨めしぢやく時に。右柚の味(み)を汁とも上にをく
なり。すぐに火をひき。あらきをき火もとりて
此時に上々の酒をこさかづきに一はい。手にて打
申候なり。此/食(めし)は後(ご)だんの類。又は薬料理には
一だんよろしく候。此食第一。五臓(ごぞう)六腑(ろくふ)をあ