翻刻
【右丁】
《割書:かけ|あい》対画(たいめん)のせりふ
〽(十郎) 夫(それ)建立(こんりう)の御詠歌(こゑいか)に曰(いわく)ぢゝばゝの恵(めぐみ)も深(ふか)き厠器(おかい)から
膀瓶(しびん)へたれる小便(せうへん)を〽(五郎)こらへ〳〵て十八町(しうはつちう)丑(うし)の年(とし)迄(まで)だら〳〵と
〽(十郎)待(まち)に待(まつ)たる泪汁(なみだちる)眼汁(めしる)鼻汁(はなしる)《振り仮名:水■|みつぱな》【氵+肺】〽(五郎)《割書:サアそれからなん|とかいふのだつけ》
《割書:わすれた ̄アヽなにさ ̄アヽなんとかいつたマアちよつと小べんにいつて|こやふ ̄ムウヽとそれから ̄アヽとなにさ ̄ヲヽおもひだしたそれ〳〵》
こらへじやうなき年寄(としより)の寒(さむ)さに一倍(いちはい)うぢくさと
〽(十郎)うづみくるみ紙蒲団(てんとくじ)炭(すみ)もかはずのしやう
事(こと)なし〽(五郎)合(あはせ)て三 ̄ケの三 百店(ひやくたな)くしやみ二間(にけん)の
奥行(おくゆき)から〽(十郎) 風(かせ)を引(ひき)まどへつついへ
にや ̄アがばゝしたしらぬ面(つら)〽(五郎)よくも
おゐらが御親父(ごしんふ)を浅草様(あさくささま)のかへる
さに〽(十郎) 椎実(しいのみ)三匁(さんもん)一袋(ひとふくろ)孫(まご)にも暮(くれ)の
十七日〽(五郎) 市(いち)のみやげは大隠居(おゝゐんきよ)〽(十郎)二の
【左丁】
やかましい婆(ばわ)への念仏構(ねんぶつかう)の銭(せに)までも
〽(五郎)取(とつ)たり飲(のん)だりをんあぼきや ̄アべらぼう
工藤(くどう)の蛇(へび)ぢいぬらりくらりと鱣屋(うなぎや)の
百万遍(ひやくまんべん)をくるやふに珠数(しゆず)がねつから
まはらぬは《割書:サアこんどはおれかがわすれてしまつた|それからなにさなんとかいふのだつけ》《割書:としがよつてさつぱり物をぼへがね ̄エおれも小べんがしたくなつた|ちよつとひよぐつてこよふそれからなにさ ̄アヽめんどうだいゝ》
《割書:かげんにまん八を|やらかそふ》珠数(しゆず)がねつからまはらぬはそこらで
ぢいさんたのみやすなんまいだんぶつなんまいだ ̄ソリヤ
なんまめだんぶつなんまめだ《割書:こいつはおもし|ろくなつた》〽《割書:ソレ|》なんまい
だんぶつなんまいだ〽《割書:ハア|》 なんまめだんぶつなんまめだ
 ̄ハアなんまいだ ̄ア〳〵《割書:ハア|》なんまいだ ̄ア〳〵〳〵〳〵〳〵
 ̄ハなんまい〳〵〳〵〳〵しやん〳〵〳〵〳〵〳〵みだぐはんに
しくどくびやうどうせいいつさいどうほつぼたいしん
 ̄ホヽうやまつてもふす〽《割書:なんのこつたまた小べんか|もるよふになつた》