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【右丁】
なつてはせ帰ると追つめ〳〵討んとす忠隣幷に牧野
右馬允康成か兵同しくとつて返す城中ゟ是を見て
みかたうたすなもの共と我も〳〵と打て出大番の人々を
先として御方の多勢馳くわはりて追つ返しつ火出
るはかりに戦ひたる敵はこらへす引返す透間をあらせ
す追つめて大久保牧野か兵三人塀にとひのほり御方つゝ
けやつゝけ城はおちぬとよはゝつたり《割書:大久保か兵ハ杉浦平大夫|といふ旗奉行也牧野の》
《割書:兵 大草掃部|といふ者なり》かゝる所に本多正信御方の人々軍すと聞て御下
知なからんに軍する条甚奇怪なりといかつて御使をはせ
御方を制して引返す同九日御陣を小諸城に移さる佐渡守
【左丁】
中納言殿に申てぬけかけして城をせめたる輩軍法に任せ
てすみやかに誅せらるへしとてまつ康成忠隣か兵すてに
城にのつたる上は首を刎へしと下知す牧野嫡子新次郎
《割書:時に|十八才》此よしを聞て彼郎等をくして逐電す父右馬允
康成罪を蒙る《割書:牧野か伝|に詳也》忠隣か嫡子新十郎忠常も彼城にの
ほりし兵杉浦くしてうせんとす杉浦聞て御情の程死し
てもいかてわするへきたゝし我命の惜しきとて君をうし
なひまいらせんは望所に候はす命は義によつてかろしと
こそ承れといひもあへすみつから首かきおとして死しぬ
《割書:此外大番の人々にも罪かうふりし人多しこれより御家人等佐渡守をうらみ》
《割書:又大久保本多か不快此時にはしまるなとゝも申也大御所杉浦か忠死を》