伊那市×みんなで翻刻

コレクション: 内藤家資料 (1) 2

藩翰譜(四・中) - 翻刻

藩翰譜(四・中) - ページ 44

ページ: 44

翻刻

【右丁】 《割書:こたへさせ給ふ旨もなし幸成は事からあしくとや思ひけん成次かかたに》 《割書:むかひ大国二ツ参らせらるのみに非す甲斐国ともそのまゝにあはせ領し》 《割書:給ふへきとの御事返〳〵【ゝ】もめて度御事に候と賀し申けれは殿忽ち》 《割書:御気色損しやあ大蔵大輔甲斐国もとのまゝに領する事忠長》 《割書:か分にすきぬとや思ふたま〳〵天下の主の子弟と生れたらん身》 《割書:かこれほとの国領せん事なにほとの事あらんと以の外にいかり給ふを》 《割書:成次よきに申なをして幸成をは返したりそのゝち御前に参りて》 《割書:そも〳〵本朝は小国なれは五畿七道をあはせてもわつかに六十余》 《割書:州にわかたれたる君は相国の御子将軍の御弟にてましませはこそ》 《割書:それか二十分か一をはまいらせられんなれなんほうゆゝしき御果報にてそ》 《割書:ましまさすやそれにかくすこしも悦はせたまはぬ御事はいかなる御心》 《割書:にてわたらせ給ひ候そやその上すでに人臣につらならせ給ふに相国の》 《割書:御家人皆御同僚にてこそ候へことに大蔵大輔は天下の政務を司つて》 《割書:時の重臣にて侍る人の君父の御使に参たらんをかくはぢかましく》 《割書:仰たまひしはかつは不忠不孝かつは不礼無義とも申へけれとなく〳〵》 《割書:いさめ参らせやかて御供申て悦申の御出仕をなさせ参らせたり同き》 《割書:八年成次甲斐国にて病にふす朝夕を期しかたしと聞ゆ大相国家より》 《割書:大納言殿に御いとまを給り駿河国に入部あるへしと仰せらる殿ことの》 《割書:外によろこひ給ひ成次かなからへたらんうちに此事きかせて悦せよとて》 《割書:ちかく召仕るゝ人を御使として早馬うたせてつかはさる成次御使と聞》 【左丁】 《割書:たすけおこされて対面し御使の旨を聞もあへず頻に涙にむせふ御使の》 《割書:人成次か死すへきほと遠からぬかは【?】気つかれ心よはりてうれしきをもかくなく》 《割書:にこそとあはれになりてこれも同く涙をなかして成次きかはよろこひなん》 《割書:さらは医療のたすけとも成ぬべしとく参れとの仰を承て候ひきされば》 《割書:かく悦にたへ給わぬを見候たも【?】上も下もふかき御ちきりとこそ存すれ》 《割書:となく〳〵申けれは成次くるしけなる息をつき御使にむかひ年老ひ身》 《割書:やみてとても死すへき此身のつれなくけふまてなからへてかゝる口おしき》 《割書:事を承る事返す〳〵も不幸なれ君は此度御いとま給り御国に趣か》 《割書:せ玉ふ事を世にうれしとや思しめすその御心ゆへにこそかゝる御身とはなり》 《割書:たまひけれ大相国すてに御よはひもかたふりせ給ひ此日頃は御身もいたはらせ》 《割書:給ふ所すくなからす只二人まします御子にて将軍家の御かためされは》 《割書:片時も御そはをはなれさせ給ふましき御事を今なにの故にかかく遠》 《割書:さけさせ給ふへき一たひ御かたはらをはなれさせ給ひて後ふたゝひ大相国》 《割書:へも将軍家へも御対面の事かなはせたまふへからす成次いきてたに世に》 《割書:候はゝいかにも申なをす事候ひなん成次かくなり侍る上はその事又》 《割書:かなふへからす成次又かくなり侍らすはいかて御なさけなく遠さけさせた》 《割書:まふへき此上は一時もはやう命終り度こそ存すれとて打ふしたり》 《割書:しかやかてむなしく成にけりその明る春大相国家かくれさせ給ひ》 《割書:その秋駿河殿つみかうふらせ給ひけり成次つねにいさめ参らせしは》 《割書:いかなる事をや申けん外さまの人しるへき事にもあらす此二ツは》