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【右丁】
誅しぬ此上は思ひ置所なしすみやかにはらきつて
冥途の御供仕るへしといふ人々此よしを聞て主君の
御敵たらんものをたちまちにうちし事其功いふに
およはすこれに候人々も御陣にたにさふらはゝたれも
御身におとるへからすそれに御身一人か御側にさふらひし
事これしかしなから神明の冥助をかうふりし所也
我々か宿運の程こそつたなけれされは今腹きつて
冥途の御供申さん事誰かは又御身におとるへきさり
なから御身は腹をも切らはきれ我らはかならす死すへき
期近きほとにありなんとおもふ今いたつらに此所にて
【左丁】
腹切らんとも覚えすと答ふ植村人々かならす死し
なんといふ期はいかにと云其時人々そも〳〵我々が
かならす死せん時わつか十日を過へからす君かくならせ
給ひぬと敵の方に聞えなば弾正忠信秀軍勢を
ひきゐて岡崎に参らんに我々爰にて腹切らは誰か
若君の御為に矢の一筋をもはな〳〵敷射出すへき
たれは我々にうち死せん事此時にありぬと覚ゆおな
しく死せん命遅速わつかにと十日をへたつべければ
御身か爰にて腹ききらんをしゐてとゝむるには及はす
といふ植村つく〳〵と聞てけにあやまつて候物かなさらは