翻刻
【右頁】
【櫛と煙管(簪)ヵの図案】
眠(みん)參(じん)新(しん)造(ぞう)圓(ゑん)《割書:壹劑(いちざい)金一歩 《割書:但(たゞ)し一じばんに|もちゆべし》
取次所(とりつぎどころ)何(いづ)れも茶屋(ちやや)有_レ之(これあり)》
【本文】
夫(それ)心臓(しんざう)の一経(いつけい)は
複心(ふくしん)の伴候(ばんこう)にして
よく客腎(きやくじん)の足(あし)を
とめ肺肝(はいかん)二階(にかい)の
手くだをめぐらす
しんぞう一《割書:ト》たび
うはつけば大ぞう
たちまちふわと
のり大町傾(だいてうけい)の
ふさがりできて
内所(ないしよ)のあんばい
はなはだわるし
【中段会話】
しんぞうたかぶりて
うへにいたればたちまち
ざしきもちとへんじ客腎(きやくじん)
水がへつて
ふところ
かはけば
ついに
せんき
もちと
なるは
このとをり
で
ご
ざい
ま
す
【左頁】
【本文】
抑この新造内(しんぞうない)は
しんそうをとゝ
のふる事(こと)を第一
とするがゆゑに
もん日のいたみ
おとらずして
廿五あき【注】の天年(てんねん)
を全ふす仙傳(せんでん)
不老(ふらう)の神薬(しんやく)なり
功験(こうげん)ひとばん
もとめて
しるべし
【中段台詞】
〽︎おたちあひ
のおかたさまに
おゐしやがたも
ござりましやうが
しんさうのおとろへより
ねむりをもよほし
ものにたいくつしておもしろく
ないよをあかすもまつたく
しんぞうよりおこりますれば
しんぞうの心?【しんぞうけい(経)ヵ】ほどむつかしい
ものはござりませぬ
【「しんぞう」「新艘」とも書く)近世後期、遊里で、「おいらん」と呼ばれる姉女郎に付属する若い遊女の称。出世して座敷持・部屋持となるものもあり、新造のまま終わるものもあった。この店先には「新造」の浮世絵なども飾り、心臓と新造を関連付けている】
【注 二十五あき。二十五歳で年季が明ける事。ちなみに江戸、吉原の遊女は二十七歳で年季があけ、遊郭を出る事を二十七あけ(明)という】