翻刻
【右丁】
なるへし今も高野山の坊中はみな流れの上に作り
かけて不浄ものは山川に流し落すなり世継物語に
か某か恋たる女房のあまりつれなけれは其屎をみて
たにおもひ絶んと樋箱をぬすみてみれは香水をそゝ
きおきたるにていよ〳〵思ひ増りたりといふ事有
されは其度々器物にとりて捨たる事いちしるし
これを捨る所川に作りかけたりしを後は其所に行て
みつからする事となりたるにてもあるへからんか今時も
物忘【思の誤記ヵ】ひのくせある人はさま〳〵に扱ふも有ときけと押
なへてはさもあらす実に不浄の気充満せるさまいと
【左丁】
はしき事なり○すへて如此西洋の家作二階三階なるのみ
彼国人究理に委しけれは空気の交代なとを専らと
すれはなり我国にはいまた聞しらすといへともむかしより
自然に好む所同しさまなり城廓の天守矢倉なとは
近世彼国の風移り来りしにて我国の古風にはあらす
○衣服衾蓐の類
衣服は人身に生る温気を空気にちらささるためなり
空気は温気を去り人身をさますもの也故に人多き所は
温に人少けれは冷なり寒き時衣服を厚くするは身の温