翻刻
【右丁】
食して其度を失へは必百子の病を生す故に養生の法其
飲食の度を以て最関要とする也
○肉食
鳥獣魚鼈皆人の食に供すへし何れも消化しやすく
してよく良血を生す中にも嫩鳥獣の肉養分を含む
事多し《割書:鶏雁鴨家鴨其外小鳥|猪豕牛羊鹿麋の類》煮てこれを食すれは最良也
肉は蔬菜にくらふれは消化しやすくして𥻮【矛+曹】【糟の誤記ヵ】少く
化して血となるもの多く糞尿の分少し食後の屍を
剖解して其胃の中を視るに肉類消化の余り腸中
に残るものなしこれを以てよくこなれ易きを知るへし
【左丁】
○西洋各国中英国は其食最良也殊に軍卒は牛肉を
食する事一週日の内二廻より少きはなしと云故に
英卒は戦場に臨みて疲羸する事少く戦の勝
敗を以て士卒勇怯を異にせすよく艱苦を凌く
事他国に優れり是食の善にして英の盛なる
ゆゑんなり諸芸の発明の甚難きもの英の発明
最多し惣て精神を労し筋骨を使役するもの
必肉食して其体を養はされは終に疳欝不眠
の患を生し虚衰して物事に動し易く過敏
にして纔に浮薄の才智あるも遠謀深慮のかた