翻刻
【右丁】
みたりに甘味の菓子を食するものと其強福いかはかりの
たかひなるやくらへ見てしるへし
○水
水は天授の飲液にして他百般の汁液ことに人造になる
もの一も其右に出るものなし腸胃の裏面を清洗し固
性の食物胃中に在もの水を得て溶解し容易く血中
に入てよく体【體】中を流利す而して其功を終るものふたゝひ
汗尿蒸気となりて体【體】中残滓鹵物を 掃し表皮
腎肺より泌別し体【體】外に辞し去らしむ○水の中
最井水を良とす其良好なるものは清浄透明無色
【左丁】
にして晶子のことく久しく空中におきても少しも其色を
変する事なし○今時の人水を恐れて喫せさるは其
冷なる故也大凡人腹中諸臓の裏面口中と同く
その皮軟かにして薄し妄に熱物を食ひ熱湯を呑
めは是か為に収縮力を疲らし馳【弛の誤記ヵ】縦解軟し消化の
用に堪さるに至る也惣て堅きものを湯に煮れは化し
て軟となり軟きものを水に冷せはしまりて堅く成を以て
しるへし然れともいまた曽て冷水を用ゐし事なき
もの一時に水を呑めは其つねに馴さるか故に時として腹痛
を起し下痢を発る事有漸々によく冷水を呑習いして