翻刻
【右丁】
く肺病痔疾等の患有近頃英吉利の新聞紙を見る
に多く発狂の患者を冤するに其原父祖二世の酒毒
に発るもの多しと《割書:云々》人の万物に長たるは只精神才
智の殊に優なるを以て也若酔醒昏迷発狂の如きに
おいては人の禽獣に異なるゆゑん又いくはくそや
戒めさるへからす
○酒害右の如しといへとも若流行悪病ある所
其土地湿沼瘴【注】■【雰の誤記ヵ】甚しくやゝもすれは虐病等
流行するところは朝夕に其度を定めて純良の焼
酒少つゝ服し適好に精神を鼓舞せしめ
【左丁】
神経力をして悪病気に勝しむへし故に航海の
人は少つゝ是を喫するを要とすけたし諸国の軍
船みな政府の費を以て醇酎を備へ其水主軍卒
の飲料に給するは此理あるゆゑなり
○上好純良の焼酒は透明水の如く舌に触て悪む
へき辛辣の味少し百分にしてアルコホルを含
む事三十分より五十分にいたる
○純アルコリネは炭素《割書:四分》水素《割書:十二分》酸素《割書:二分》をふく
めり其他見る所の成分は其製のあしきにより
て混するものなり
【注 「ショウ」=山川の毒気にあたっておこる熱病。】