翻刻
【右丁】
よくいましめて呑ささらしむへし○養生訓にも性毒也
といましめおけり
○浴湯
温湯浴寒水浴共にみな肌の垢を去りよく蒸気の発
せしむるをむねとす人身垢つけは腠理《割書:毛穴》を塞き血
中の糟滓体外に放し去る事能はす体中に留りて
終に悪寒発熱冒感の症を発せしむるなり
○世人冒感の症を風邪と云是多くは寒風にあひて
肌膚の気孔収縮し血行裡に走りて悪寒を発る
【左丁】
なり寒風肌を収縮せしむると垢の腠裡を塞くといつれ
も害をなす事同し故に風邪の時入湯してよく垢を
去りあたゝまりて寒さにあたらされは大かたかるき風邪は
即時に治るなり
○浴湯熱に廻れは表部をゆるめ力を失ひ少しの寒さにも
容易に冒感すつとめてぬるき湯に入てよく垢を落し
直に衣装を着し運動して再ひ発汗すへし熱湯に浴
して後単衣にて久しく涼む等に至ては其害又甚し加之
熱湯に入るもの漸くに体力を弱くし癇症を発しまた
中風を生す江戸の人中風多きは熱湯の害也近世西洋人