翻刻
【右丁】
の湯温華氏寒暖計六十五度を過る事なし願くは冷水
欲を善とす○壮健にて日々運動するものは日々入湯するも害
なし虚弱の人は月に五六度くらゐにすへし但つとめて体に
垢のつかさるやうにすへし
○豊城言浴湯の事養生訓に熱湯を用うへからす温り
過すへからすといへるはよし又初発の病には薬に増りたる
事有といふも風邪の初発ならんにはよくあたれり寒月
には湯あみて垢を洗はす只下部を洗ひて早く止むへ
しといへるは聞えかたし垢を落す為の浴湯なるをあた
たむる事にのみ思へるは非也○又温泉の事さま〳〵いへと
【左丁】
温泉は病を治る為に入湯なれは其病により其湯により
て性質をえらふへけれは養生法にいふへきにあらす
○睡眠
睡眠の間は五官《割書:視聴味|嗅覚》の用全く休止し精神を発動せ
しむるものなし睡中四体の不便あれは其人これを覚ゆ
る事なきも寐かへりし又枕を直しおのつから安逸を
求むるは精神少しく作用するを以て也然れとも大凡
皆鎮静なる故に日中の労費を補ひ神力体気を
復する事多し是を考るに日中労するをもつて