翻刻
【右丁】
然として文事を止めて庭外に動労し筋骨を堅く
し然して後更に緩解して神思を養ひ点灯のゝち
復ひ案【つくえ】につき精力を労使し二更【注①】の頃蓐に入て安
眠すへし人各精神に限りあれは昼夜勉強して
鞭策するもあなかち其益を得る事尟【尠は俗字】し
○豊城《割書:云》睡眠の事養生訓に飲食の欲色情の欲
睡眠の欲是を古人三欲といふ《割書:云々》いぬる事少くする
は養生の道なる事人しらす眠少けれは無病になるは
元気めくりやすき故なり《割書:云々》又千金方 ̄ニ曰養生のみち
久しく行久しく坐し久しく臥久しく視る事なかれ
【左丁】
《割書:云々》と有又世俗蛍雪者の昼夜の間二時の眠にて足るなと
妄に説くは何れも人身の事を不知故也如此人多く色
蒼く色沢【注②】なく少事におとろき易く物の用に不立
もの多し能心して養生法度を用うへし
○房事
房事は康健の人各其体力に応して疲れさる程に
すれは却て養生に適せり是人間自然の本性にして
止事を得さる所也但房事の後は静に安眠すへし殊に
子夜《割書:夜九ツ時|を云》前をよしとす然れとも若年のうち成長
【注① にこう=今の午後十時前後。】
【注② しょくたく或はしきたく=いろつや】