翻刻
大かたは佐渡國より出る事のことし程なく
出る事多からすして採る事をとゝめらる
一陸奥國の南部より黄金出つ是も慶長十三年
の頃出し事殊に多くしてほとなく出す
謹按するに佐渡石見伊豆奧州の南部より
金銀を出せし事古にきかす 當家世をし
ろしめされし初より出し事本朝の古より
つゐに聞さる所なり是より此方百年の今
に至りて我國の金銀萬國にすくれ多くし
て材用のゆたかなる事ひとり我國のいに
しへに例なきのみにあらす外國にも類ひ
なき事也今の代の人かゝる事をもしらす
して 神祖の恩德我國萬代の後まてに至
るへき御事をもしらす口惜き事なり又是
によりて我國天地の運慶長五年よりあら
たに開き初りし事をもしりぬさらは
聖子神孫よく祖業を守らせ給ひ天下の貴
き賤しきおの〳〵其所を得せしめ給はゝ
神祖の御後は天地と共に久しかるへき事
うらなはすして知りぬへき御事也又按す
るに 神祖かくれ給ひし後にも爰かしこ
より金銀出し事代代に聞へしかと其數多
からすわつかに佐渡薩摩等の地より出す
事ある由を申すか