翻刻
青(あを)のりなどかけたるは風情(ふせい)ありて
よし大根(たいこん)の煮(に)つけたるにするめ
のあしに鮎(あい)ざこなどうちまじり
たるはむげにおちて見にくし
今その品の上品(じやうひん)下品(げひん)を献立(こんたて)の内
にしるして用ひかたをしらしむ
大かたは精進(しやうじん)の番菜(はんざい)は上品になり
魚(きよ)るいのばんざいは下品になりやすき
ものなり此心(このこころ)をよく〳〵わきまふ
べし但しはち入もの切(きり)めもり
かたなどはやゝものなれたる上の事
なれば随分(ずいぶん)心をもちひ都(すべ)てわざと
めかす手きれいにしていだすべし
一あるじ酒(さけ)をこのみ時々(とき〳〵)酒いだす事
あらばその家の風(ふう)主(あるじ)の気質(きしつ)いろ〳〵
ありといへどもかねてばんざいのうち
にて其(その)心得(こころえ)いたしおくべしさてあるじ
酒を申つけたる時はさつそくいだす
べし何程(なにほど)よき肴(さかな)ありともひやうし
ぬけになりてはかへつてふちそうに
おとるものなりさるからに番ざいの
うちにて肴(さかな)になるものをわかちて