翻刻!べらぼう関連資料

コレクション: 朋誠堂喜三二

鐘入七人化粧 : 3巻 - 翻刻

鐘入七人化粧 : 3巻 - ページ 12

ページ: 12

翻刻

おひては土ばしのうへにてあんちん にわかれぜひなくまたとも人を つれてかへるさしばのいほりにたち よりしにあんちんがすみかにて女ぼう とおりしきものひるねしてゐければ いまは人にもいとわずうらみ かこちけるに此あんちんはきつね なればおひでがくわいちう せしりれうの玉に おそれて ほんの すかたを あらわす 【おひで】 なにゆへ あんちん さんには ばけて みづからを たふら  かひたぞ 【狐】 のふおそろしや〳〵    もとのすみかへたち           かへり             ます かくて   あんちん つうりきうせ  まことの    すかたを   あらわし      ければ せうじに うたを  かいて  たち    のく

現代語訳

お秀は土橋の上で安珍に別れ、仕方なくまた友人を連れて帰る途中、柴の庵に立ち寄った。そこは安珍が住んでいる所で、女房と思われる者が昼寝をしていたので、今はもう人目も気にせず恨み言を言った。この安珍は狐であったので、お秀が懐中していた利両の玉を恐れて、本当の姿を現した。 【お秀】 なぜ安珍さんに化けて私を騙したのですか。 【狐】 ああ恐ろしい、元の住処へ帰ります。 こうして安珍は通力を失い、本当の姿を現したので、障子に歌を書いて立ち去った。