翻刻
【右丁】
後は人間二度死る事あるましきと云
事也たゝし善悪二のもやうはかはるへし
其故はせんちよとあしききりしたんとは
をはりなくゐんへるのゝくるしみをうけてな
からへからさにてはてたるよききりしたんは
天にをひてたのしひをきはめてふたいの命を
持へしと云へる儀也
弟 てうすの天地を作り給ひし事も御主せす
きりしとの御出世なされ死し給ひよみかえり
給ふと云へる事をも見奉らす其外けれとに
こもるよのあるちいこをも見奉る事なけれは
何と様に信し奉るへきや
【左丁】
師 是等の事は見たる事となしと云へ共てうすより
つけ給ふによて信せすして叶はぬ事也
それによて眼を以て物を見るよりも此ひいて
すのあるちいこすはなをたしかなる事也
弟 てうすよりつけ給ふと云事は誰人のつたへ
そや
師 すひりつさんとより道ひかれ給ふさんたゑけ
れしやよりかくのことく教へ給ふ也又此さん
たゑけれしやすひりつさんとよりおさめられ
給ふ事なれはまよひ給ふことすこしも叶は
さる者也