翻刻!江戸の医療と養生

コレクション: コレクション2

浪華薬種問屋能書張交帖. 二 - 翻刻

浪華薬種問屋能書張交帖. 二 - ページ 27

ページ: 27

翻刻

【枠内】 しらがの薬功能 壱貝代 四十八文 世にしらがそめぐすりととなへて売(うり)ひろむるもの多(おゝ)し その功能(かうのふ)書(かき)にいはくひとたびつけてのちふたゝびしらがになる ことなしと夫(そ)はしるしなきそらごとにぞありけるわか ひろむるところのしらが薬(くすり)はこれらのものにあらずひと たびつけ用(もち)ひぬればたちまちしらがをしてくろかみと するのみか日(ひ)を経(へ)てのちまたもとのしらがになさんとて お六のこまかなるくしにてすきとりたまふとても中(なか)々 しらがになるといふことなしこの薬 秘(ひ)してひろめずとい へともこう人 門前(もんぜん)に市(いち)をなすにいたればいまは世にひろめ よと人々のすゝむるにぞこたひあたいをきはめて売(うり) ひろむることになりぬつけ用(もち)ひやうはすぢたてにて 髪(かみ)をすこしあげゐてはだのよごれぬやうにはけにてつけ たまへかし多(おゝ)くつけたまへばみぐるし又(また)髪(かみ)あつき御方(おんかた)は 多(おゝ)くつけてよくすきたまひたるもよし十日めあるひは 廿日めに一度(いちど)つゝかくのごとくして月日(つきひ)へぬれはのち はしらがこと〳〵くへんじあるひはぬけ□てくろかみになる ことふしぎともいふへし此(この)薬 月(つき)にまし年(とし)にさかゑて世に ひろまらば日(ひ)の本(もと)ひろしといへどのちは海内(かいたい)地(ち)をはらふてし らがつむりといふことなくなりなんことしるへし まことに人をしてわかやかしむるの仙方南判 本家 《割書:京富小路|松原上町》 井筒屋八兵衛製 取次所 大坂天満鳥井西角 和泉屋久兵衛  つけてはげぬしらがの薬 【次枠】 家伝順気散 一 産前(さんぜん)産後(さんご)血(ち)の道(みち)によし産(さん)の時(とき)善悪(ぜんあく)をとはずニ三 度(ど)用(もち)  ひて母子(ぼし)ともに安体(あんたい)也(なり)産屋(さんや)の中(うち)居(ゐ)なをり帯(おび)をしかへ  るにその前(まへ)に此薬(このくすり)を用て血(ち)の道(みち)発(おこ)らざる也 一 難産(なんざん)色々(いろ〳〵)悪症(あくしやう)有之(これあり)二三日 産(さん)する事あたはず難儀(なんぎ)に  及ぶとも此薬(このくすり)用(もちひ)て奇妙(きみやう)平産(へいさん)也 一 気鬱(きのつき) 上気(じやうき) 目眩(めまひ) 眩暈(たちくらみ) 頭痛(づつう) 土用(どよう)八専(はつせん)にあたり煩(わづらひ)  老若(らうにやく)男女(なんによ)ともに用てよし 一手負(ておい)血留(ちどめ)に妙(みやう)也 血(ち)を納(おさ)め気(き)正(ただ)しく成(なる)居(ゐ)なをり帯(おび)を  しかへるにその前方用て血(ち)はしらず 一 物(もの)にうたれ高(たか)き所(ところ)より落(おち)又(また)落馬(らくば)などにて身(み)を打(うち)て  難儀(なんぎ)に及(およ)ぶ時(とき)早速(さつそく)此薬(このくすり)用ゆべし以来(いらい)痛(いたみ)発(おこ)らざる也 右之 薬(くすり)何(いづれ)も薄茶(うすちや)一貼(いつふく)ほどづゝ熱湯(にへゆ)にかきたてゝ用ゆべし 不熱湯(ぬるゆ)は験気(げんき)なし故(このゆへ)に此薬(このくすり)を號(なづけ)てあつゆ薬と云(いふ) 第(たい)一 血(ち)を補(おぎな)ひめぐらし気をくだす事を功能(こうのう)とす婦人(をんな)の わづらひ色々(いろ〳〵)ありといへ共 気血(きけつ)よりは発(おこ)る事 多(おほ)し是(これ)に よりて女人(をんな)諸病(しよびやう)に用てよし委細(くはしく)記(しるす)にいとまあらず 神妙(しんめう)有功(うかう)の薬(くすり)也(なり)懐胎(くわいたい)の女人(をんな)ある家(いへ)には此薬 貯(たくは)へ 常(つね)に用べし   江戸本町一丁目常盤橋前 人参類品々小売仕候      日野屋孫八 外に痳病せうかちの妙薬御坐候