翻刻
【右丁】
一虚症の疱瘡(ホウソウ)腹下り死せんとするに人参湯にて二三粒用立所に効アリ
一一切の腫物下痢痔(ぢ)久していゑざるに用て効アリ
右此薬一切諸薬何にても指(さし)あひなし産婦には可 ̄シ_レ忌(イハ)此 ̄ノ薬常養生薬には毎月三日
一丸五日に一丸虚人は毎日一粒二粒塩湯酒にて用病人には毎日二粒三粒五粒見合
用一切諸病を治す神効かぎりなし
○此竒方は大医令道三之元祖一渓先生三国伝-来の妙方也 難(ナン)病を治して度々
効アリ天下無双の名方也世上に知 ̄ル人なし有_レ故傳 ̄フ_二我 ̄カ家誠 ̄ニ世上 ̄ノ珍-方也 然(シカリ)トイヘトモ
秘シテ不_レ出時は世上の病人と不_レ救(スクハ)又此の方有 ̄ル事を知 ̄ル人ナシ故に為_二衆人_一令 ̄ル_二調合_一
もの也
大医令玄淵道三
門下 小野道秀
□□□【金応丸】
【左丁】
【本文】
古(こ)-人(じん)云(いふ)。至(いたつ)て虧(かけ)やすきものは陰気(いんき)なりと。世(よ)の人(ひと)多(おほ)く房(ばう)-室(じ)を慎(つゝし)まず飲食(のみものくいもの)を莭(???)せす。其上(そのうへ)思(いろ)-慮(〳〵と)
百(こころ)-端(つかひし)。妄労(みたりにつかれ)妄動(みたりにうごき)して。五臓(ごさう)の火(ひ)。忽(たちま)ちに動(うこ)き。所(いは)_レ謂(ゆる)一(いつ)-水(すゐ)五(ご)-火(くわ)に勝(かた)ず。終(つひ)に天一(てんいち)の水(みつ)を煎(せんじ)
熬(いりつけ)て諸(いろ〳〵の)-症(やまひ)一時(いちじ)に発(おこ)る。是(これ)を火(くわ)-動(とう)の症(しやう)と名づく。初(し)-老(じふ)の後(のち)。尤(もつと)も此(この)-病(やまひ)多(おほ)し。此(この)症(しやう)発(おこ)りては。
扁鵲(へんじやく)の術(じゆつ)といへども決(けつ)して救(すく)ふべからず。恐(おそ)るべきの甚(はなはた)しきならずや。然(しか)れは豫(まへかたに)これを防(ふせ)
ぐ術(じゆつ)なからんや。余(よ)が家(いへ)に一(ひとつの)-竒(めい)-方(はう)あり。天(てん)-一(いち)玄(げん)-々(〳〵)子(し)と称(しよう)ず。薩(さつ)-州(しう)絖胡麻(ぬめごま)といへる上(しやう)-品(ひん)を以(もつ)て
君(おも)-薬(くすり)とす。其(その)-外(ほか)隊(くみあは)する薬(くすり)。皆(みな)滋(うる)-補(ほし)益栄(ちをます)の良(よき)-品(しな)なり。故(かるかゆゑ)に常(つね)に用(もち)ゐて。腎(じん)-精(せい)を益(ま)し。元(げん)-陽(やう)を
壮(さかん)にする事(こと)。此(この)-薬(くすり)に及(およ)ぶものなし。総(すべ)て偏勝(かたよりたる)の病(やまひ)を治(ち)するは。必(かなら)ず偏(かたよりたる)-味(あちはひ)の薬(くすり)を用(もち)う。是(これ)已(やむ)を
得(え)ずして用(もち)う。用(もち)ゐて的(てき)-中(ちう)せざれば。却(かへつ)て其(その)害(がい)を遺(のこ)す。此(この)玄(げん)-々(〳〵)-子(し)のごときは。元(けん)-陽(やう)を保(たもつ)
を主(おも)として。偏寒(かんにかたより)偏(ねつに)-熱(かたよる)の薬(やく)-品(しゆ)を用(もち)ゐず。 其(その)-効(こう)當(たう)-前(せん)に著(いちじる)しからすといへども。久(ひさし)く服(ふく)して。
其(その)-効(こう)顕然(あらはるゝ)事(こと)。疑(うたが)ふべからず。されは世(よ)の孝(かう)-子(し)孝(かう)-孫(そん)。父祖(ふそ)の寿(ことぶき)を祈(いの)る人(ひと)。一(いち)-日(にち)も此(この)薬(くすり)なか
るべからず。仰(あふい)て君父(くんふ)に事(つか)へ。俯(ふ)して妻(さい)孥(し)を育(やしな)ふ人(ひと)。亦(また)一(いち)-日(にち)も此(この)薬(くすり)を欠(かく)べからず。其(その)効(かう)-
能(のう)略(ほゞ)如(さの)_レ左(ごとし)
《題:天一玄々子(てんいちげん〳〵し )《割書:主治(しゆぢ)》》
第(だい)-一(いち)腎(しん)-精(せい)を益(まし) 肌(はだへ)を潤(うるほ)し 胸(む)-中(ね)をすかし 脾胃(ひゐ)を調(とゝの)へ 飲食(のみものくひもの)を和(こな)し 痰欬(たんせき)を治(をさ)め
声(こゑ)を能出(よくいだ)す 眼目(め)を明(あきら)かにし 遺(ゐ)-精(せい)白(ひやく)-濁(たく)を止(とめ) 大小便(だいせうべん)を快(こころよく)-利(つう)し 根(こん)-気(き)をつよくし
【以下、次コマの文字の振り仮名に付、次コマに翻刻】