翻刻
【右丁】
物(もの)に退屈(たいくつ)せず 記臆(ものおぼえつよく)する事(こと)神(しん)のことし 若(わかき)-人(ひと)の白(しら)-髪(か)を黒(くろく)し婦(をん)-人(なの)腰足(こしあし)寒(ひえ)便(ひ)-秘(けつ)するによし
小(こ)-児(ども)の乳(ち)-離(ばな)れに。食(たべ)-事(もの)に交(まぜ)用(もち)ゐて。脾胃(ひい)を傷(やぶ)らず 小(こ)-児(ども)多(とし)-年(ひさしく)用(もち)うれば。五(ご)-疳(かん)癖(かた)-塊(かひ)の患(うれ)ひなく。
食(しよく)にあてられず。成長(せいちやう)の後(のち)。必(かなら)ず壮(すこ)-実(やか)なり 此(この)-薬(くすり)常(つね)に用(もち)ゐて流行病(はやりやまひ)に感(かん)ずる事(こと)なし
凡(およそ)此(この)-薬(くすり)一(ひと)-月(つき)用(もち)ゐて。惣(そう)-身(み)潤(うるほひ)を出(いだ)し。胸(む)-膈(ね)をすかし。痰(た)-飲(ん)を治(をさめ)。飲食(のみものくひもの)を和(こな)し。心(こゝろ)爽(さはや)かになる事(こと)を
試(こゝろ)むべし 一(いつ)-切(さい)食(しよく)-物(もつ)さし合(あひ)なし。其(その)-人(ひと)の好(このみ)に応(おう)じ。湯茶(ゆちや)にかきたて。或(あるひ)は水(みづ)。又は食(たへ)-事(もの)に振(ふり)
かけ用(もち)ゐてよし 常(つね)に袖(そで)にして。餒(うゑ)たるを充(みた)しめ。渇(かはき)を潤(うるほ)し。過(くわ)-食(しよく)を消(せう)-化(くわ)する事(こと)妙(めう)なり。
此(この)玄(けん)-々(〴〵)-子(し)煉(ねり)-丹(やく)の製(せい)あれども。蜜(みつ)過(くわ)-半(はん)に及(およ)ぶを以(もつ)て。其(その)-効(かう)薄(うす)からん事を恐(おそ)れ専(もつは)ら治(ち)-験(けん)の
神(そん)-速(そく)ならん事(こと)を尚(たつと)び。修(をさめ)て散(さんやく)とす。且(かつ)は懐(ふところ)にしやすく。而(しか)も服(ふく)して泥(なつ)まざる事(こと)を
御薬料定(おんやくれうのさだめ)《割書:薬-目百-目|同五拾目》 《割書:代-銀三-文-目|同壱-匁五-分》
《割書: |大阪高麗橋三丁目》
本家調合所 玉兎園 岡吉右衛門精製
京都出店 四条富小路西ェ入北側
売弘所 紀刕若山寄合町 岡崎屋吉左衛門
【左丁】
【上段枠外】
御薬弘 ̄メのため毎月廿一日大坂本家にて五十人へほどこし申候
【上段枠内】
《割書:家|伝》脚気即妙散(かつけのめうやく)《割書:一服|》代四十八銅
一右御薬之儀は《割書:予》が先祖(せんぞ)阿州丸岡 家(け)の秘方(ひほう)なり
数(す)百年之 昔(むかし)異人(ゐじん)一人 来(きた)り曰(のたまはく)此邊 難所(なんじよ) ̄ニて脚気(かつけ)差(さし)
おこり難渋(なんじう)する者(もの)無数(すくな)からず爰(ここ) ̄ニ脚気(かつけ)治する奇(き)々
妙々の薬方(やくほう)あり永(なが)く諸(しよ)人の病苦(びやうく)を助(たす)くべしと秘書(ひしよ)を
残して去(さる)所を知(し)らず夫ゟ今 ̄ニ至(いた)り施薬(せやく)同様(どうやう) ̄ニ弘 ̄メ来(きた)り候所
四国 巡拝(じゆんれい)のかた〴〵知(し)り給ふごとく脚気一通 ̄リニおゐては五年
十年の悩(なやみ) ̄ニていか程(ほど)六ヶ敷脚気 ̄ニても此御薬にて治せずと
いふ事なし然 ̄ルに今脚気の病症 ̄ニ悩(なやめ)る人の多(おゝ)ければ一家(いつけ)に
秘置(ひしおか)んよりは広(ひろ)く諸人(しよにん)の病苦(びやうく)をすくひ給へと人々の
すゝめをもださず價(あたへ)を定(さだめ)て普(あまね)く世上(せじやう)に弘(ひろ)むるもの也
功能
一手足うきあるひはしびれ筋(すぢ)ひきつりいたむによし
一 脊(せ)すじ胴(どう)へかけ引付又は心下(むなもと)へさしとり痛 ̄ニ吉一つちふまずより小ぶしひざぶしがくつき痛 ̄ニ吉
一くにかつけひざがつけによし 一かつけしゆまんのせう ̄ニ用てよし
一うちみくじきによし 一せんきによし
其外 病根(びやうこん)かつけの症(せう) ̄ニ候へばいづれの所 ̄ニていたむともかろきは
二三ぶくおもきは十ぶくにいたるまでこと〴〵く治する事 如神(しんのごとし)
道中(だうちう) ̄ニてふみ出し候かつけには其夜一ふく用ひて即功ある
事 奇(き)々 妙(めう)々の良薬(りやうやく)なり御用ひの上ためし知(し)るべし
【下段枠外】
十二月朔日より十日の間
減 ̄シ直段左の通 ̄ニて差上申候
六味丸百目 ̄ニ付代銀三匁
八味丸百目 ̄ニ付代銀三匁八分
【下段枠内】
《割書:六味|八味》地黄丸《割書:定直段|六味百目 ̄ニ付| 代銀四匁三分|八味百目 ̄ニ付| 代銀五匁五分》
右 回春(くわいしゆん)補益門(ほゑきもん) ̄ニ出て《割書:予(わが)》家(いえ)の傳方(でんほう)といふ ̄ニはあらず
然共(しかれども)薬種(やくしゆ)上品(じやうひん)を撰(ゑらみ)製法(せいほう) ̄ニおゐては家(いへ) ̄ニ傳(つたへ)て委(くはしき)事 有(あり)
予(よ)が祖(そ)製(せい)し初(はじめ)てより已来(このかた)功(こう)得る事(こと)年(とし)有
腎虚(じんきよ)三年 腰(こし)立(たゝ)ざる ̄ニ用(もちひ)て歩行(ほこう)健(すこやか) ̄ニ髪(かみ)の落(おち)たるも
更(さら) ̄ニ生(しやう)ずる類(たぐひ)疑(うたがふ)べからず累年(としをかさね)是を試(こころ)み今(いま)以(もつて)
證(しやう)とする事 数(かず)有(あり)常 ̄ニ養生(やうじやう)のため用(もちゆ)る時(とき)は専(もつは)ら
腎精(じんせい)を益(まし)陽道(やうどう)を壮(さかん)になす事 余薬(よやく)の及ぶ事なし
別而(べつして)寒暑(かんしよ)の砌(みぎり)御 用(もち)ひ被成候へば候 功能(こうのふ)はやく暑寒(しよかん)を
しのぎ大人小人をきらわず万人万 応(おう)の神劑(しんざい)也