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【菊紋】人参三臓円(にんじんさんざうゑん)《割書:此薬(このくすり)をふくして五(いつツ)|の妙(めう)を顕(あらは)す并ニ用(もち)ひ|やう共(とも)ニ包紙(つゝみがみ)に記(しる)す》
▲此(この)人参三臓円(にんじんさんざうゑん)去(さんぬる)享保(きやうほ)十二 年(ねん)丁未(ひつじ)閏(うるふ)正月 於崎陽(ながさきにをいて)清人(いまのからひと)
岐来氏(きらいし)周南(しうなん)名医(めいゐ)より主剤(しゆざい)修治(しゆぢ)製法(せいほふ)精(くはしく)秘授(ひじゆ)す
抑(そも〳〵)此三臓円周南先生 医奥妙術(ゐおうのめうじゆつ)の口授(くじゆ)有(あつ)て近世(きんせい)
の人(ひと)の諸虚百損(しよきよひやくそん)を補養(ほやう)し大(おほい)に腎精(じんせい)を益事(ますこと)諸薬(しよやく)に
勝(すぐ)れて玄妙(げんめう)無双(ぶさう)の仙円(せんゑん)なり予(よ)謹(つゝしんで)《振り仮名:製_レ之|これをせいし》諸病(しよびやう)に試(こゝろみ)るに
一人(いちにん)として治(ち)せずといふことなし仍(よつ)て病者(びやうじや)の幸(さいはゐ)ならんことを
欲(ほつし)広(ひろく)世(よ)に弘(ひろ)むさんぞ三蔵円(さんざうゑん)由来(ゆらい)夫(それ)心脾腎(しんひじん)の三蔵は遣(つか)ひ安(やす)ふして
補(おぎな)ひがたく虚(きよ)し安(やす)ふして治(ぢ)しがたし諸虚(しよきよ)諸病(しよびやう)の其(その)根本(こんほん)皆(みな)右(みぎ)
心脾腎(しんひじん)三蔵(さんざう)の労減(らうげん)より発(をこる)其(その)始(はじめ)大(おほい)に心気(しんき)を労(らう)し或(あるひ)は大酒飲食(たいしゆいんしゐ)
節(せつ)なく又は色欲(しきよく)のか過度(くはど)よりして三蔵(さんざう)虚損(きよそん)し気分(きぶん)あしく
ぶら〳〵と煩(わづら)ひて平生(へいぜい)気力(きりよく)なく五臓六腑(ござうろくふ)共 減耗(げんがう)し惣身(そうみ)虚弱(きよじやく)に
なり病(やまひ)色々(いろ〳〵)と諸症(しよしやう)ニ変(へん)じ百薬(ひやくやく)を用(もち)ひ効(しるし)なき人(ひと)なり共(とも)此(この)
仙円(せんゑん)は其(その)諸病(しよびやう)の根本(こんほん)たる心脾腎(しんひじん)三蔵(さんざう)を速(すみやか)に調補(とゝのへをきな)ふこと此(この)薬(くすり)の
第一(だいいち)の神妙(しんめう)にして気血(きけつ)をよくめぐらし大(おほひ)に腎勢(じんせい)をまし惣身(そうみ)五臓(ござう)
六腑(ろくふ)共 堅(かた)くし諸虚百損(しよきよひやくそん)の諸症(しよしやう)を治(ぢ)し無病(むびやう)壮健(そうけん)ならしむ
▲心(しん)の臓虚(ざうきよ)して心気(しんき)うすく乳下(ちのした)に動気(どうき)あつて常(つね)に
胸膈(むね)いたみ腋(わき)の下(した)より汗出(あせいて)て時々(とき〳〵)怔忡(むなさはぎ)し物(もの)に
驚(をどろ)き少(すこし)のことをも案(あん)じものごとに早(はや)く退屈(たいくつ)しよく
健忘(ものわすれ)し中風(ちうぶ)身痺(みしび)れ頭痛(づつう)目(め)まひ立(たち)ぐらみし痰血交(たんちまじり)夜不寐(よねられず)
寐時(ねるとき)は夢(ゆめ)多(をゝ)く遺精(いせい)夢遺(むい)自汗(じかん)盗汗(とうかん)是等(これら)の病(やまひ)ニ用(もち)ひて《振り仮名:如_レ神|しんのごとし》
▲脾(ひ)の臓(さう)虚(きよ)して食(しよく)すゝまず少(すこし)の物(もの)も中(あたり)さい〳〵腹(はら)くだり又(また)は
よく食(しよく)すれ共痩気(やせき)みじかくものに腹立(はらたて)腹力(はらちから)或(あるひ)は腹(はら)
いたみ又 腹(はら)はりいきだはしく胸(むね)のつかへ痰積(たんしやく)脾肺(ひはい)おとろへ
痰咳(たんせき)久(ひさ)しく止(やまず)虚(きよ)労咳(らうがい)夜中(やちう)暁(あかつき)がた泄瀉(はらくだり)または五三 日(にち)も
うら遠(とを)く下血(げけつ)痔(ぢ)また脱肛(だつこう)出(いつ)るに此等(これら)の諸病(しよびやう)に用(もちひ)て《振り仮名:如_レ神|しんのことし》
▲腎(じん)の臓(さう)虚(きよ)して陽事(やうじ)の威(いきほひ)弱(よは)く顔色(がんしよく)つやなく肌(はだへ)やせ陰(ゐん)
《割書:神|方》国土散(こくどさん) 小児(せうに)五疳(ごかん)根(ね)を抜(ぬく)良方(くすり)
此(この)国土散(こくどさん)は.日向国(ひふがのくに)の住人(ちうにん)某(なにかし)が家(いへ)の伝来(でんらい)にて.小児(せうに)五疳(ごかん)の
諸難症(しよなんしやう)を治(ぢ)し.永(なが)く其(その)病根(ひやうこん)を抜(ぬく)秘方(ひはう)たる事(こと).世(よ)に類(たぐ)ひなき
所(ところ)にして.彼地(かのち)にてこれを製(せい)し年来(ねんらい)施薬(せやく)となせり.右(みぎ)伝来(てんらい)
の某(なにかし)は予(よ)が年久(としひさ)しき知音(ちいん)なり.二十 余年(よねん)已然(いぜん).彼(かの)某(なにがし)上坂(じやうはん)
の砌(みぎり).予(よ)が男(せかれ)おもき疳疾(かんしつ)を患(わづら)ひ.医療(いれう)手(て)を尽(つく)せども寸効(すんかう)なき
に.此(この)神方(しんはう)を投(あたへ)られ.必死(ひつし)を救(すく)ふの即効(そくかう)比類(ひるゐ)なかりしより予(よ)
篤(あつ)く信(しん)じて懇意(こんい)の家(かた)に疳疾(かん)を患(わづら)ふ小児(せうに)あれば.遠(とほ)き海路(かいろ)を
毎度(まいど)乞求(こひもとめ)て.此(この)神方(おんくすり)をあたへて.起死回生(きしくわいせい)の妙(めう)をあらはす事(こと)数(たび)
回(〳〵)なり.これ全(まつた)く予(よ)が済物(さいぶつ)の志(こゝろざし)を存(そん)するによれりと深(ふか)く感(かん)じ
て.遂(つい)に其(その)方剤(はうざい)修製(しゆせい)の秘(ひ)を尽(こと〴〵)く伝授(でんじゆ)せらる.それより已来(このかた).予(よ)
此方(このはう)を施薬(せやく)する事(こと).今已(いますで)に二十 年(ねん)に垂(なん〳〵)たり.しかるに此(この)御薬(おんくすり)
の方製(はうせい)薬味(やくみ)に高料(かうれう)なる物(もの)あり.且(そのうへ)霜(くろやき)となすが故(ゆゑ)に薬目(やくめ)も
十 分(ぶ)一に減(げん)するにより.微力(ひりよく)にては普(あまね)く施薬(せやく)しがたきを以(もつ)て.
聊(いさゝか)も利徳(りとく)に拘(かゝは)らず施薬(せやく)同前(どうぜん)の志(こゝろざし)にて去(さんぬ)る天明(てんみやう)八 年(ねん)戊申(つちのえさる)六月
より始(はじめ)て売薬(ばいやく)とし.同(おなじく)九月 能書(のうがき)を改(あらた)む《割書:本(ほん)能書(のうがき)半紙(はんし)五 枚(まい)とぢ御薬(おんくすり)に|そへ出す.これ其(その)ぬき書(がき)なり》
一 彼某(かのなにがし)曰(いはく).凡(およそ)今時(いまどき)の小児(せうに)は稟賦(うまれつき)さかしく.飲食(いんしい)ほしいまゝに.美食(ひしよく)
をこのみ父母(おや〳〵)も亦(また)愛(あい)におほれて.撫育(ぶいく)を慎(つゝし)まず.厚味(かうみ)をあたへ終(つひ)に
脾胃(ひゐ)損(そん)じ心肝(しんかん)亢(たかぶ)り.或(あるひ)は喜(よろこ)び笑(わら)ふにまかせ.みだりに揺動(ゆぶり)あるき.虫(むし)上(のぼ)り驚風(きやうふ)と
なり.又は臝痩(やせおとろへ)青筋(あをすぢ)たち.肌肉(きにく)枯燥(かれかはき)気短(きみじか)く.ニ三 歳(さい)より
疳疾(かん)となり.いろ〳〵に変(へん)じ煩(わづら)ひ。折々(をり〳〵)熱出(ねついで)気弱(きよわ)くなり.小隅(こすみ)へかゞみ.泣(なく)
事(こと)しげく.むさぼり食(くらへ)ども痩労(やせつか)れ.色(いろ)あしく.首筋(くびすぢ)手足(てあし)とも細(ほそ)く.肚(はら)大(おほい)に
脹(はり).年(とし)よりは小(ちひさ)く。或(あるひ)は小便(せうべん)渋(しぶ)り.大便(だいべん)度々(たび〳〵)下(くだ)り.又は遠(とほき)もあり.気重(きおも)くなり
欬嗽(せき)出(いで)て疳労(かんらう)となる等(とう)の症(しやう)は.幼少(えうせう)の内(うち)に療治(れいぢ)せされは.たとひ成長(せいちやう)す
とも.癆症(らうしやう)等(とう)の諸難病(しよなんひやう)を患(うれへ)て寿命(じゆみやう)を保(たもつ)事(こと)あたはず.都(すべ)て長病(ちやうびやう)にし
て幾年(いくねん)も煩(わづら)ふ人(ひと)多(おほ)し.其等(それら)に此(この)薬(くすり)を用(もち)ひ試(こゝろみ)るに.軽(かろ)きは三日.重(おも)くとも七日にして必(かなら)ず効験(かうけん)あり.たとひ無病(むびやう)の小児(せうに)たりとも.かねて此(この)薬(くすり)を用(もち)ひおく
ときは胎毒(たいどく)を解(げ)して.疱瘡(はうさう)軽(かろ)く.脾胃(ひゐ)を調(とゝの)へ.元気(げんき)を益(ます)の効(かう).速(すみやか)に気(き)を順(めぐら)
し.食(しよく)を化(こな)すの能(のう)あるを以(もつ)て.諸病(しよびやう)生(しやう)する事(こと)なし.是(これ)年来(ねんらい)試(こゝろみ)る所(ところ)なり
但し□疳疾□□□五臓へ□□□あらはるゝ所の病症.大略(あらかた)左(さ)のことし
『肺之疳(はいのかん)』
くろまなこまじりにて上(うへ)へかへり.しろめがちになる○しはぶきする○はなのいろ
かはり.又はせゝり.あるひははなおほくいづる○かんねつし○ちゝをあます
○むしかみへのぼり.おほあたまになる○つめをかむ.又ぬくる○身ふざけいろになる○は
らはる○ねることをこのむ○だつこういづる○だいせうべんともしろし
『脾之疳(ひのかん)』
かほのいろきにして.のちは身もきいろになる○みゝとほくなる.又しるい
づる○はら大きにしてはり○かはらけ.かべつちなどをくひ○つちのう
へをすく○さかなをこのむ○あるひはふしよくし○しゞこにあなあき.又はゆが
む○せうべんきいろにだいべんすくなし
『心之疳(しんのかん)』
めのにくになみだあり○はなのしたゞれ○ひたひあかし.頬(ほゝ)あかし○こうち
うかさあり○のんどかはき.あるひははるゝ○きおそくなる○つねにはら
【(前コマ)】
【はれやまひにだい一のしよくじは 小豆たい■には麦と御こゝろへ御用ニてよく候○ 小豆は小粒ニてすこし】
くろみある.新小豆(しんあづき)よく候《割書:■■小豆なつ小豆|ごみかつきともいふ》○小豆(あづき)と麦(むぎ)とひとつに.めしにたきたるはねばりてあ
しく候.○麦(むき)めし《割書:米(こめ)入ては|あしく候》しやうゆすましにかつほふし入おろし大こんとうからし入御用よく候○小豆(あづい)は
ざつとすりつぶしてなりとも.《割書:かわをさりては|あしく候》丸(まる)ながらも.しほ.さとうを入てなりともなくさみにも
御 用(もちひ)よく候○たとへば.一日に麦(むぎ)一合(いちがう)御用候はゞ.小豆(あづき)は.二 合(がう)のわりに.小豆のかた.多(おほく)御用候へば.大へん
よく通(つう)じ.小べん通しのためよく候はれやまひの小べんは.いろあかきうちは.通(つう)じ少(すくなき)ものニて候.
大べんよく通(つう)じ.それより.しつねつ.だん〳〵さり.小べんのいろ.しだひに.うすくなり.とくとすみて
本通(ほんつう)じになるものにて候.さて又(また)小べんに色(いろ)あるうちは.大べん通(つう)じ多(おほき)ときは.水気(すいき)まじりて
通(つう)ずるゆへか.小べんはけくして少(すくなき)ことも.あるものなり○麦(むぎ)ニてもだんごなどにしたるは.あしく候.
一 米(こめ)は.一 粒(りう)ニても御 無用(むよう)ニて候.大べん通じのためあしく候.はれやまひは.とかく.大べん通(つう)じ第(たい)一ニて候
一 薬(くすり)の加味(かみ)。いきたはしく.食(しよく)つかへば.一ぶくに.《振り仮名:縮-砂-仁|しゆくしやにん》を.一 分(ふん)入御せんじ○婦人(ふじん)には香附子(かつぶし)も御入よく候
○大べんしぶり.なめあらば.《振り仮名:縮-砂-仁|しゆくしやにん》.木香(もつかう).《振り仮名:檳-榔-子|びんらうじ》.《振り仮名:羌-活|きやうくわつ》.《振り仮名:防-風|ぼうふう》.一分ほどヅヽ入御せんじ
此
一ふくニ
唐(から)の
《割書:しゆくしや|かうぶし》《割書:壱分五り|壱分五り》入
せんじ御用
脾胃敦阜(ひいとんふ)腫病(はれやまひ)【之薬 大坂追手筋錦町一丁目住】
脚気(かつけ)腫満(しゆまん)鼓【脹主剤 林一烏調合】
右一ふくしやうが皮(かわ)と【もニ二分入て・水は大ていの茶碗ニ二はい】
半(はん)入・一はい半(はん)・ニかし■【せんじばかり・用べし】
一 食(しよく)じ薬(くすり)せんじ水(みづ)と【もニ・あらためてよし・常〴〵川水を用】
ところは・よき井(いど)の水(みづ)ニて【よし・常〴〵井の水を用ところは・よき】
《振り仮名:長-流水|ながれかわのみづ》を用(もちひ)てもつと【もよろし・しかしながら・雨中と濁水の】
せつは・井(い)の水(みづ)を用(もちゆ)べし【・ 但し水澄たりとも・其川水の】
かさたかきうちは・山谷(やまたに)【の湿水流入てよろしかるまじ用べからず】
一 古(いにしへ)の《振り仮名:名-医|めいい》は・病(やまひ)ニした【がつて・ 薬-煎ニ 種々の水を選て用.】
《振り仮名:腫-病|はれやまひ》はことに・《振り仮名:不_レ伏_二水土_一|みつあたりの》【症もあれば・水の吟-味第一なり】
一-昼夜に二ふくヅヽ
御 用(もちひ)かはきあらば
三ふくニてもよく候
新(しん)の《振り仮名:夏-小豆|なつあづき》を
煮(に)て《振り仮名:煮-汁|にしる》にて
さつとすり塩(しほ)を
入 《振り仮名:砂-糖|さたう》もよく候
いかほども御用
水のぎんみ第一ニて候