翻刻
【枠内 前コマと合せ】
《題:《割書:仙伝|秘法》十全丸(しうせんぐわん)《割書: 《割書:小|売》一包●三りう入 百銅|薬価 半剤金 弐朱| 壱剤金 百疋》》
【次枠】
此十全丸は仙伝秘方(せんてんひはう)にして補瀉(ほしや)□【温ヵ】涼(りやう)を兼(かね)而十を全(まつとふ)するの妙有よつて名(な)づく也●是程の小丸にして至て高直なる薬なれ共△
一切の滞(とゞこうり)はすみやかに解(け)しねつをさましひへ症(せう)をあたゝめ精気(せいき)清血(せいけつ)をめぐらし五臓(ござう)を調和(てふくは)し百病を治する所の妙劑(めうざい)也第一 気付(きつけ)によし
【次枠】
【上部横書き】
第壱
【下部】
男女しやくつかへ腹中(ふくちう)のなん病によし
気(き)しやく一(あるひ)は血(けつ)しやく一は食しやく□【一ヵ】はたんしやく一はかんしやく又はむねむしにてむねはらを切さくがごとく一はきりにてもむ
がごとく一はむしざうふをかむかごとく一はさしこみつよく一はいかりはらたち又は気みじかく一はわきばらせなか引つりいたみ
一ははら大にすじばりむねくるしく一ははらのやまひむねへせりつめたへがたくはらにかたまりと成一はたんにて肚(え)【吐ヵ】逆(つき)し
食物(しよくもつ)をつきかへし一はにかきくすりせん薬をのめはいよ〳〵つよくいたみ一は時々むねへつかへ食すゝます一はどうきつよくすへて
むねはらいかやうのむつかしく年久しく持病等ありて百薬をつくし又ははりきうも功なく共此薬を用ひて立
どころにいたみをさり元気をまし二三日五七日用ひて持病の根をさること甚すみやかなり
【次枠】
第弐
大食しやうふく鳥けだもの木のみ等其外へんなるものをたへ大毒(たいとく)にあたり一は胸(むね)さきにこだはりのめどもくたらすはけども
出す一ははら大にはりいたみ一は大ねつきやうらんし又惣身ひへあかり誠にあやうき病人に用て其きゝめ手のかうをかへす
ごとし〇五七年まえの食たひを治すること至て奇妙又かつをまくろ一切の魚どく酒とく水あたり等のかるき食しやうねひへ等は一二りう
用ひて立ところに治す
【次枠】
【上部横書き】
第三
【下部】
痢病(りびやう)くたりはら一はしふり腹いたみいきみ立一は白(しら)なめ赤(あか)なめをくだしはなはたむつかしき等にても此薬
大人小人ともに用ひて治すること至て奇妙なり
【次枠】
【上部横書き】
第四
【下部】
婦人のなん病血のみち持病等によし
帯下(こしけ)一はせうかち一はしら血一はなかち一は血(けつ)くわい一はぼうろう一は魚のわた鳥のきものやうなるもの等をくたすによし右しる
す所の病しやういかやうにむつかしく年久しき持病にて百薬しるしなく共かるきは一ニつゝみをもきは五七日用て
速(すみやか)に治し気血をめくらしとゝのへ無病さかんになること至て奇妙なり婦人は常に心つかひ多く気けつ滞りて一は
月水不順にして口はなより血を出し一はづゝう目まひ立くらみ一ははら大にはり一は惣身手足なと腫気(はれ)一は
身ふし〴〵しひれ又はこしひへいたみ一はかんねつおこりのどく一は血らうとなり一はニ三年もはらくたり惣して
むつかしくもつれりやうしの手をつくすといへともしるしなきなんひやうなりともかるきは一ニ度用ひて先つ其
きゝめ大きに心よく重きは半ざい一劑用て久しき持病の根をたち至て無病すこやかになること妙なり
【次枠】
【上部横書き】
第五
【下部】
男女 下血(げけつ)はしり痔(ぢ)久しき持病百薬しるしなきに用て速(すみやか)に治す○はなぢとけつ一日にニ三度づゝはき候共五七りう用て
立所に治す〇たんけつだ血へんち等にはニ三度用て速に治す〇惣身 腫気(はれ)むねくるしく小へんつうぜす甚あやうきに用てしるし有
【次枠】
【上部横書き】
第六
【下部】
男女気のかたろうせう日々におとろへ百薬しるしなく共此薬を一ニ斉用て食すゝみまめやかなり五七斉用て速(すみやか)に治す又
常に気をふさきむねつかへ不食し一はたんせきぜんそく一は手足よだるく夜は心よくねられす一は腎虚(しんきよ)気虚(ききよ)血虚(けつきよ)に至て妙也
【次枠】
【上部横書き】
第七
【下部】
大くわくらんあげくたし腹やく病等を治すること至てはやし〇はやり疫病(えきびやう)おこりねつ病の類は四五りうたてがけて
用て妙なり〇薬どくのあたり又 灸(きう)あたりいかやうのむつかしく共立所に治す
【次枠】
【上部横書き】
第八
【下部】
小児(せうに)驚風(きやうふう)五疳(ごかん)諸病(しよびやう)に用てよし
此病は気みじかく物おどろきびくつき大便(たいへん)けつし小便(せうへん)つまり一は手をにぎりそりかへりそら目つかい目をみつめはを
くひつめ一はせき入なき入息(いき)たゆるといへとも此薬を用て立所によみかへり無病(むびやう)長生(てうせい)すること妙なり
【次枠】
【上部横書き】
第九
【下部】
此病はかほいろきばみくびすじ手足ほそくやせ腹(はら)大きにはり又は青すじいで一は目しはつきはなの下あかくつめをむしり
一はすみかわらけ等をかみ一は虫(むし)はらしきりにいたみ目をすへてなきやまざるに此薬を用て治せづといふことなし
【次枠】
【上部横書き】
第十
【下部】
ほうそうはしかのまへに用てたいどくむしけをしりそくゆへに至ておもくすへきはかるく又かるくすへきはしるしはかりにてすむ又
はつやみのきざしあらばいよ〳〵たてかけ用て甚かるくじゆんにして誠に安全たること奇妙也又かせて後余どくつよく肥(び)
立(たち)かねたる二三日五七日用て大に肥立元気さかん成ことはやし
【次枠】
【上部横書き】
諸病
【下部】
生れて七夜の内用てたいどくむしけの根をたつ〇生れ付よはくむしけひゐきよにてやせおとろへつねにわづらひ多き小児に
用て無病さかんに成一は薬ちかいにて薬どくあたり又は灸のあたりに至て奇妙也〇時々持薬に用ゆれはきうぢに及はつして
無病さかんに成
一ちをあまし 一しよくをもどし 一むしねつさし引 一ぢれて気みじかく 一大へんに色々あしき色をくたすによし
一やかましくせはり 一夜心よくねかたく 一夜なき 一たんせきせんそく 一大へんけつしだつかういつるによし
一虫をはきくたし 一はやりやまひ 一しよかんあたり 一ねびへくわくらん 一小へんしぶり惣身うそはるゝによし
一百日せき 一しやくり 一とき〳〵引つけ 一はらのいたみ 一虫けにてすし引つりちんばに成かりたるによし
一やぶいも 一どくけし 一こしあしかゝみきん玉大きく成たるによし小へんつまり立所につうす
【次枠】
右十全丸は急病は立所に治し当座の病は一二日用て速に治し又生れつきよはく一は大病にて久しくやみつかれりやうじ手を
つくすといへとも百薬効なき病人にても一二日もちひてまつ心よく元気をまし食をすゝめ五七日用て全く治すへし
たゞし此薬の至て妙剤なることいまた御そんしなき御方は先一トつゝみ御用なされ万一能書の通きゝめなくは此薬
御用に及はすいかにも誠に其きゝめたゝしき所はろんより御こゝろみあつて知り給ふへし〇諸薬しよくもつさし合なし
【次枠】
東都本家 喬翁庵製
《割書:島之内周防町佐野屋橋筋西江入》
大阪弘所 高月氏
【最終行は次コマに翻刻】