翻刻練習用:浴恩園和歌

コレクション: 田安家邸園図 [5]

田安家邸園図. [5] - 翻刻

田安家邸園図. [5] - ページ 16

ページ: 16

翻刻

名もしるく春風の池よりはるとひ やるはなの下道を分つゝゆかは秋くらか 渕錦島なとの影うつるけしき御こそと思ひ やられ岩たちたる雲のほそうたな飛き ぬるしのしめの浦をき花のかけはしは ふまゝくおしくやあらむいはぬ色なか山明 の関はなのらてすくるともとかむる たともあらし夏にうつきの関ときけは くれ行すもとゝめまほしう御きかゝる藤浪 のゆかりの屋はいとゝ行過かたくやとはかり ゆけは水の下に心唐くつくりなし渇にしまぬ 花も葉もえむなるに拆しもゆふ風の さと音つれて露所せく 順みたれたるこそ 雲井よりくたせるたまもの池ならめたま もの山も同し所にありとそこたかき松の 千世の細道平たとる〳〵夏と秋とゆきかふ みそき坂に出ぬれはうき世の葬ひちもはら 然はてつゝ初秋の森のかくれより秋風 のいけのおもてにかよひくるけはひのたゝなら ぬにはねをならふかかさゝきのはしならて しら鷺のむれゐかありさま霜をわたせる かとあやまたれま荻か関千種の園にあそはし 大かたの野へをも与所にそみるらんかつらの棹 さして月の船山柳のうらのほとりこきめく り詫はなかつゝみのもとにやすらへは浪たゝこゝ もとによせかへり秋のみなと田に色こきいね ともうち重ねたるを見ても粒々みな辛苦 とかいひけむ民のしつさのはとなほし