翻刻
【右丁】
してめぐらざる時は精液(せいゑき)つゐ
に腐水(ふすい)【左ルビ:くされみつ】となりて病を生す
壮年(さうねん)の比 虚労(きよらう)労咳(らうがい)の病(びやう)
症(しやう)は皆 情欲(じやうよく)をとげす気鬱(きうつ)
する故の病なり此症(このしやう)あらば
はやくその理(り)を暁(さと)して保養(ほよう)
せしむべし薬剤(やくざい)を以 保養(ほよう)
するともその念慮(ねんりよ)熾(さかん)にして
止(やま)ざるときはその効(こう)なしすべ
て今 治世(ちせい)の人情欲 盛(さかん)にし
て病を発(おこ)し死(し)にいたるもの
【左丁】
おほし婬欲(いんよく)もつとも制(せい)し
かたくして行義(かうぎ)をあやま
るのみにあらす保養の道
にもそむきて天年(てんねん)をちゞ
むるなりしばらくの欲(よく)を達(たつ)
せんが為に命(いのち)にかへて身(み)を
ほろぼすの拙(つたな)きを熟思(つら〳〵おも)ひ
尤 力(ちから)を用ひ念頭(ねんとう)をきよくすへし
▲人 小児(しやうに)のころは財欲(ざいよく)婬欲(ゐんよく)
の為に気(き)をふさぐの病なく
只 飲食(ゐんしよく)の欲(よく)のみにしてやぶ